~園長せんせのばわい~
「じゃあお願いします、夕方には引き取りにきますので」
「はい、わかりました。いってらっしゃい」
僕は朝、いつもどおりチャオを幼稚園に預けてから学校へ向かった。今日のクラスの担任は園長先生。安心して学校へ向かった。
…
クラスでは、早速今日のお稽古が始まっています。今日のお稽古はお絵かきのようです。
「さぁ、みんな。今日はお絵かきの日です、何が書きたいかなー?」
園長先生の呼びかけに、子供チャオ達が答えます。
「ケーキ!」「ヘリコプターがいいチャオ!」「ヒコーキ!」「フジサンかきたいちゃお!」「美少女」
「よーし、じゃあ今日は飛行機の絵を描きましょう。みんなクレヨンもってるかなー?」
「はーいチャオ!」
「じゃあ画用紙を配るから、取りに来てねー」
みんな持ってきたクレヨンを取り出し、サラサラと絵を描き始めます。
誰が見ても飛行機に見える絵、よく見れば飛行機に見えなくもない絵、コレを見て飛行機と答えるにはちょっち無理がある絵。色々あります。
数十分後…。
「さぁみんな、できたかなー?」
「はーいチャオ!」
「うんうん、どれもよく描けてるね。じゃあ休み時間にしましょう」
「わーいチャオー!」
ソレを聞いたとたん、子供チャオ達は一斉にどたどたと駆け出します。
教室の隅にある積み木で遊ぶ子、オモチャ箱をひっくり返して出てきたオモチャで遊ぶ子、楽器をめちゃくちゃに鳴らして遊ぶ子。
「うんうん、みんな元気があってよろしい。…おや?」
園長先生は何かを見つけました。ダークチャオの子が、ノーマルチャオの子と喧嘩しています。
「こらこら、喧嘩をしてはいけませんよ」
園長先生が仲裁に入ります。
「せんせー、チャックス君が僕だけデロデロごっこに入れてくれないチャオ~」
ノーマルチャオの子が泣いています。
「だって、チャノスケはデロデロするのが下手なんだチャオ!もっとデロデロできるようにならなきゃ入れてあげないチャオ!」
ダークチャオの子が怒っています」
「こらっ。仲間はずれはいけません。チャックス君のような悪い子にはお仕置きです」
「な、何をする気チャオ…?」
チャックス君は後ずさりしてしまいます。
「お仕置きです、髭でもしゃもしゃ攻撃~!」
園長先生はそういうと、チャックス君に顔を近づけ、ご自慢のお髭をチャックス君に擦り付けます。もしゃもしゃ。
「うひゃぁぁぁ!くすぐったかゆいチャオ~!」
チャックス君はじたばた暴れます。園長先生は離してくれません。もしゃもしゃ。
「さぁ、反省しましたか?」
「し、したチャオ~…。もう仲間はずれにしないチャオ~…」
「よく反省しました。偉いですね。チャノスケ君が上手くデロデロできないのなら、チャックス君が教えてあげなさい。ソすればもっと楽しくデロデロできますよ」
「…そうチャオね!チャックスが教えてあげるチャオ!チャノスケ、一緒にデロデロできるようになるチャオ!」
「わーいチャオ~!園長先生ありがとうチャオ~!」
「よかったですねチャノスケ君。頑張りなさい」
「はーいチャオ!」
外に駆け出す二人の後姿を見て、園長先生は微笑みました。
数時間後…。
…
「チャオ引取りに来ました~」
「はいはい、お帰りなさい。今日も元気に遊んでましたよ」
「そうですか、それはよかったです」
僕と園長先生がクラスの扉の前で離していると、園長先生の脇からするりとチャオが出てきた」
「お帰りチャオ~!待ちくたびれたチャオ~!」
「はは、ごめんごめん。それじゃ、失礼します」
僕は軽く頭を下げて幼稚園を出た。両手にチャオを抱えて。
「またね、チャノスケ君」
「バイバイチャオ~」
僕の手の中で、チャノスケは後ろを向いて園長先生に手を振って答えた。
…
「みてみてチャオ~。今日新しい遊びを覚えたんだチャオ~!」
「へェ、何を覚えたんだ?」
「必殺、デロデロごっこ~!チャオ~!」
「え、ちょっと何して…あ、おいそれは…あーっ!」
チャオはお絵かきとデロデロごっこを覚えました。また来ましょうね。