第1話
Blue Hearts ~蒼き心に~
第1話
ここは西の首都・大阪。
駅に1匹のチャオが降り立った。
彼の名はギザン。
地元・鳥取の倉吉から、就職するため大阪に1匹でやってきた、若いチャオである。
彼は、まず大阪の友達と待ち合わせの約束をしていた。
約束の時間が来た。
言われた場所に、友達がやってきた。
【ギザン】「よう、ケルミス。久しぶりだな。」
【ケルミス】「ああ、よく来たね。」
その友達の名前はケルミス。
彼は生まれも育ちも大阪である。
【ギザン】「爆撃でボロボロになってると思ったら、被害が無さそうじゃん。」
【ケルミス】「大阪や京都、広島、福岡などの主要都市にはだいたいシールドが張られているからね。」
【ギザン】「へぇ、倉吉はまだ小都市だからいいが、鳥取なんか被害が凄いらしいぜ。」
【ケルミス】「そう、一番被害を被ってるのは鳥取や高知など、シールドが張られていない中規模都市。」
【ギザン】「ふうん・・・」
【ケルミス】「とりあえず、ここ。僕の親戚がやってるカフェだよ。」
と、街の一角のカフェに入った。
そこで2匹はしばらく話をしていた。
その時。
ズドドーン!!!
街にに轟音が響いた。
【ギザン】「な、何だ!!??」
その直後、街のスピーカーから警報音が鳴り響く。
【アナウンス】「空襲警報!空襲警報!敵が謎の新型兵器によってシールドを突破。
直ちに市民は避難せよ!!」
【ケルミス】「う、嘘だろ!!??」
カフェも当然大騒ぎになる。
と、次の瞬間であった。
隣の席にいた人間の男が、急に立ち上がり、
【男】「ちくしょう奴等、「あれ」を先に完成させやがったな!
まだ実験段階だが、こちらも対抗措置として投入する!
ただ、中のチャオが・・・・そうだ!
このカフェにいるみんな!私は西日本軍の大尉、藤村隆一だ。
ここにいるチャオ達よ、私が率いる作戦に協力してくれないか?」
カフェには2匹以外にも何匹かのチャオがいた。
【ギザン】「・・・お、俺たち?」
【藤村】「そうだ、頼む、この通りだ!」
彼は頭を下げる。
藤村大尉といえば、優秀な科学者で若くして大尉にまで登りつめた有名な人間である。
その彼に頭を下げられてはたまらない。
そこにいたチャオ達は皆この頼みを了承した。
【藤村】「ありがとう。では、爆撃を避けながら、私について来てくれ。」
【ケルミス】「(小声で)ギザン、どうする?」
【ギザン】「(小声で)どうするもこうするも、黙ってついて行くしかないだろ。」
1時間後。
彼らは大阪の地下深くの、軍基地に案内された。
メンバーはギザンとケルミスを含めて計6匹である。
まず、一通り自己紹介を行った。
【ギザン】「俺はギザン、鳥取の倉吉出身。宜しく!」
【ケルミス】「僕はケルミス。生まれも育ちも大阪です。」
【ジェノラ】「私はジェノラ、広島の三原生まれです。」
【フェルノ】「あたしはフェルノ。愛媛の宇和島生まれ。宜しくっ!」
【ノブロ】「僕はノブロ。出身は宮崎の日向です。」
【レイネ】「私はレイネです。京都の舞鶴の出身です。」
【藤村】「男女3、3か。丁度いい。
では、君達にやってもらう作戦を説明しよう。」
以下、藤村の説明を要約するとこうである。
昔、そう20世紀後半から21世紀前半にかけて、人間が中に乗って操作するロボットで戦うマンガ・アニメが全盛期にあった。
しかし当時の科学技術では実現不可能だったため、それらは次第に廃れていった。
藤村はこれに目をつけ、これらが現在(29世紀)の科学技術で再現可能なのではと考え、新兵器として開発に着手した。
しかし、人間を中に乗せるにはまだ技術が足りないため、人間より小さなチャオを乗せて戦うことにした。
【藤村】「開発は順調だったが、今日の大阪を見れば分かる通り、敵が新兵器を使ってシールドを突破しはじめた。
そこで急遽こちらも新兵器を投入することにした。
その中に乗って、戦ってもらいたいんだ。」
【一同】「は、はあ。」
【藤村】「今日はまず新兵器の操作方法や武装の説明だ。
そして明日から実戦に突入する。」
【ギザン】「て、展開速えぇよ・・・」
【ケルミス】「仕方ないだろ、敵に攻められてるんだ。」
その後みんなで新兵器について講義を受けた。
眠たくなるような部分もあったが、藤村の必死の説明で、何とか一通り覚えこんだ。
その日の夜。
【ギザン】「ろ、6匹で1部屋かよ!!??」
【藤村】「上の連中は、こういう所に金を出してくれないんだよ、まったく。
悪いけど、よろしくな。」
しかし、これは結果的に良い方向へと導いた。
その夜、6匹で話が盛り上がり、まるで昔からの友達のようになったのだ。
ただ、翌朝寝不足という代償をもたらしたが。