後編
後編
あれから数日経った、ある日。
彼は、チャオBで質問と一緒に、あるメッセージを書いた。
「年明けから、本格的に受験勉強に入ります。
3月には帰ってきますので、待ってて下さい。」
それからしばらくは、ネットをしなかった。正直、怖かったのだ。
しかし、12月31日。最後の日。明日からは、本当にチャオBが見れなくなる。
意を決し、チャオBを覗いた。
「受験頑張れ」
「きっと受かる!」
「合格しますように」
「チャオBのみんなが待ってます」
そんなレスが、たくさん。
その瞬間、彼は、泣いた。
男が、しかもBBSを見て泣くなんて、笑われるだろう。
でも、みんながいる。自分には、チャオBがついている。そう思うと、嬉しくて、たまらなかった。
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それから、およそ3ヶ月経った、ある日。
少年は家に帰るなり、自分の部屋へ駆け込み、パソコンをつけた。
まず、チャオBだ。
知ってる人も、知らない人もいる。3ヶ月もすれば、何人かはメンバーも入れ替わるだろう。
そして、予め用意しておいたチャオの質問と一緒に、一言。
「合格、しました!」
「おめでとう」のレスが、「頑張れ」のレスよりも、たくさんついた。
大物レギュラーからも、いない間に来たらしい新人さんからも。
また、彼は、泣いた。
これから、少なくとも2年は、チャオと遊べる、チャオBに、いれる。
また、たくさんの人と、話せるんだ。そう思い、やっぱり、泣いた。
その次に、まず親に、先生に、友達に、そして最後にチャオBに、感謝した。
「本当に、ありがとう」
そして、涙を拭いて、メモ帳を開き、小説を書き始めた。秋から考えていた、新作だ。
キーボードを叩く音は、しばらく止まらなかった―――――
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あれから、5年。
まだ、チャオBは元気だ。今日も、新しい参加者がいる。
彼は、大学生になった。今は、「チャオラーの聖地」と呼ばれる、京都に住んでいる。
もちろん、そんなつもりで京都の大学を目指した訳ではないが、気がついたらここにいた。
彼は今、他のチャオBレギュラー達と、オフ会をしている。
きっかけは、5年前の聖誕祭のチャットだった。
「いつか、オフ会しようよ」
その夢が、叶った。
最も、大半はここ5年の間に入ってきたメンバーで、当時の事はほとんど知らない。
そんな一人が、彼に聞いた。
【メンバー】「あの、5年前の聖誕祭って、凄かったらしいですね。どんなんだったんですか?」
【当時の少年】「ああ、あの時ね。あれはね―――――」
Birthday・バースデイ~完~