【11】
俺はドームのあった敷地の中心にいた。
いつの間にか意識が無くなっていたようである。
元々ドームがあったここにはドームの一部分も見あたらず、地面はまるで砂漠のように砂でできていた。
俺は体を起こす。すると、新聞の号外が足下にあるのが見えた。
俺はそれを拾い、記事を見た。
そこには街から巨大な光の柱が発生している写真が大きく載っていた。
その光の柱は写真に収まらないほど縦長で、もしかしたら天まで届いていたのかもしれない。
俺は立ち上がって辺りを見回す。
どうやら街は救われたようで、このドーム以外はいつもと全く変わらない。
まるでこのドームだけが元から存在しなかったようにさえ思える風景がそこにはあった。
いや、実はこの街が救われたように見えるだけで、
本当はこの星という単位で考えると人類は、生命は間違った方向へ進んでしまったのかもしれない。
俺がそうさせてしまったのかもしれない。
それでも未来がある限り人は、生命は存在し続ける。
例えどんな過酷な運命が待ちかまえていたとしてもこの世界が終わるまで。
昔からそうだったように、これからも。
俺はその場から歩き出す。
しばらくして歩いてきた道を振り返り、ドームがあった場所を見る。
まるで今までここで起きた戦いの跡を全て消し去ったかのようにすら見えるその地は、
もう戦う必要はないのだと言っているかのように見えた。
全ての生命は進んでいく。
未来へと。