第30話 ある国の最後の生還者(前)
大会は2回戦の一日目が終わり、二日目になった。
そしてブルーイ達が座る観客席に・・・皆が集結していた。今日は誰の試合もないし、(仲間内では)ツルギも最後の試合なのだ。
「ンッン~♪実にすがすがしいね~!次の相手はマッドメアだ!」
ブルーイはスーパーハイテンションである。
「言ってろ」
フロウとクロフォードがハモる。
「ヘイ!それいったらおしまいだろ~!?もう強そうなやつとあたれるのはいいね~」
「俺は弱かったのか?」
フロウがブルーイをにらみつけた。ブルーイの動きがとまる。
「まぁ・・・もちつけ。(落ち着け)」
そしてラフィーナVSウィズの戦いがはじめまろうとしていた。
「私はこんなところで負けるわけにはいきません・・・」
ラフィーナが構える。
「ふん、ケイス国の最後のチャオの力を見せてやる」
ウィズは殺気のオーラをだす。
その言葉を聞き、ラフィーナが驚く。
「ケイス国ですって?」
ケイス国とは!数年前に帝国と戦争をして、敗北。皆殺しにされた!
が、生還者ここにあり。
「おかしいか?さっさとはじめるぞ」
ウィズは審判をみる。
「ふはははははは!この私、トミーが審判だ!いくぞ!」
シンプルな名前である。
「GO!」
その叫び声とともに動いたのは両者ではなく、フィールドに配置されてある岩だった。
ラフィーナがうごかしているのである。
「岩を俺に飛ばすだけでひるむとでも思っているのか?」
ウィズは黒いグローブをはめる。
そして・・・飛んできた岩を砕いた。
「今度は俺の番だ」
ウィズはそういうと、ラフィーナの視界から消えた。
「えっ?」
ラフィーナはわけがわからず、きょろきょろ辺りを見回した。
次の瞬間、背後に目を向けた瞬間、ウィズの手が飛び込んできた。
「!!!」
ラフィーナは飛び上がり、なんとかそれをさけた。
「速い・・・」
そうつぶやいてるうちにまたパンチが飛び込んできた。
これを手で受けたラフィーナだが、あまりにも速く、重いパンチなので、ラフィーナの骨は後少しで折れるところまでいった。
「うっ!!!」
思わずうめき声をあげ、後退りする。
目の前にはウィズがいた。
「今まで俺の攻撃を手で受けるやつはいなかったな」
ラフィーナは攻撃をうけた右腕を左腕でおさえながら笑う。
「結構ききましたよ」
そう言うと、ラフィーナは左腕をウィズにむけ、魔法の衝撃を発生させた。
見えない衝撃はがウィズを襲い、ウィズはふきとばされた。
ウィズは受身をとる。
「遠距離が得意なお前と至近距離からの攻撃が得意な俺・・・・」
ラフィーナは今度は光の光線を放ってきた。ウィズは片手で受ける。
「おおおおぉぉぉぉぉっ!!!」
ウィズは片手にそのエネルギーを溜め込み、それをラフィーナに返した。
光線は普通以上の力になり、ラフィーナは手でそれをはじいたが、光線を屈折させることしかできなかった。
「私の技を・・・返した?」
ラフィーナは目を丸くする。
「魔全衝撃斬!!!」
ラフィーナは自分の腕を光らせ、それを風を切るように振った。すると、そこから光の剣がとびだし、ウィズに向かっていった。
だが、ウィズはそれにむかって 突進 していった。
「リヴァイバルエッジ!」
ウィズは両手をクロスに振った。十字の虹色のエネルギーが飛び出す。
二つの光線はぶつかり、相殺した。
ラフィーナは叫んだ。
「私の攻撃が通用しないはずは・・・!魔竜集結破!!!」
両手から竜の形をしたものが飛び出す。
だが、ウィズはとまらない。
今度は両手でその光線をうけた。
そしてまたエネルギーをため・・・ウィズはそれに自分のエネルギーも加えて、プラズマの雷撃と化して、ラフィーナに向かってかえされた。
ラフィーナはそれを受け止めることができず、雷撃をもろにうけた。
「きゃああぁぁぁぁ!」
目も眩むものすごいエネルギーのプラズマが、容赦なく彼女を包み込む!流石のラフィーナも悲鳴をあげた。
雷撃が収まると、彼女のマントはぼろぼろになり、体を斬られたような傷がいくつもあった。
「くっ!はぁっ・・・はぁっ・・・」
ラフィーナは息をするのがやっとで、立ち上がる事もできない。
完全にウィズはラフィーナを圧倒していた。
もはや何の魔法も術もウィズには通用しなかった。
ただ、ウィズがとどめの技のエネルギーをためるのを、黙ってみている事しかできなかった。
「あんたは自分の力を過信している。だから負けたのさ」
ウィズは倒れているラフィーナに向かって言う。
「貴方は・・・どうだっていうんですか・・・?」
ラフィーナは問う。
「俺は・・・自分はまったく強いと感じられん。なにひとつ自分の国を守れなかったんだからな」
その言葉にラフィーナは感じる。
生きている環境がまったく違う。
彼は戦争で負けた。自分より強いものがいた。
準決勝進出を決めたブルーイだってそうだと聞く。
だが・・