第八話『人間界崩壊』
おかしい・・・。
気配はするものの静か過ぎる・・・。
ANOTHERが近づくと風が騒ぎ立てるはず。
なのに何故・・・。
まさかANOTHERではないのか?
いや、この気配はANOTHERのもののはず・・・。
ノヴァは途中突然立ち止まり、考え事を始めた。
{アルト}「どうしたの?顔色悪いよ?」
{ノヴァ}「・・・いや。何でもない」
そう言うとノヴァはまた走り始めた。
{アルト}「あ、ちょっと待って!」
{ノヴァ}「どうした?」
アルトは腰を下ろし、ヒィヒィ言っている。
{アルト}「す、少し休ませて・・・」
{ノヴァ}「そんな暇は・・・」
そこまで喋り、ノヴァは黙ってしまった。
気配の数は・・・二人、三人・・・いや、五人?
いや・・・この数は・・・数え切れん!
まずいな・・・こんなにANOTHERがいるとなると俺だけでは守りきれん。
応援を呼ぶか・・・?
いや、俺はもう裏切り者。応援など来ない。
どんどん近づいてくる。
覚悟を決めるか・・・。
{彰祐}「何か・・・地響きが・・・」
{アルト}「うん。何か少し地面が揺れてるね」
地面の揺れ・・・?
まさかっ!
察知した時にはもう遅かった。
三人が上にいる地面が流砂の様になり、
三人を引き込もうといわんばかりに音を立てる。
{アルト}「う、うわぁぁ!?」
{彰祐}「な、な、何ィ!?」
{ノヴァ}「どこかにつかまれっ!」
ノヴァがそう言うと彰祐はアルトを抱き抱え、
必死で近くの電灯に飛びついた。
見る見るうちに地面が消えていく。
しかし不思議なことに建物はその位置に浮いたままだ。
地面だけが綺麗に消えてしまった。
よく見ると地面が消えた奥底の方に浮いている島のようなものが見える。
{ノヴァ}「これは・・・迎影界!」
{アルト}「迎影界!?あの世界は人間界とは違うはずでしょ!?」
{ノヴァ}「・・・世界の融合だ。
本格的に侵略を始めたようだ・・・」
{彰祐}「どうやったらこんなことが・・・」
{ノヴァ}「俺にも分からぬ。
唯一分かるのは・・・この世界は終末を迎えようとしていることだ」
・・・近くにANOTHERが一人。
さっきの多数の気配は迎影界のものか。
む?この気配は・・・。
そう考えていると、民家の屋根を飛び移りながらこっちへ何かが近づいてきた。
これは・・・この気配は・・・チャオ!
{チャリオット}「や、やっと見つけた・・・」
第八話『人間界崩壊』終わり。
第九話に続く。