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―いらっしゃいませー!!
聞き飽きていた。この台詞には。
―本店では色々なチャオを売っております。
後になって、友から聞いたが
人間の場合、俺の立場だったらジンシンバイバイで
警察にツウホウだそうだ。
ツウホウって何だ?ジンシンバイバイ?
バイバーイ?
―どうぞ、ご覧くださいませー!
ふざけるな、俺は魅せる為に、ここにいるんじゃない。
それに、何故俺が売られなきゃならない。
そもそも、俺達がお前達に抵抗できないからって調子に乗るな。
回った金は、エサとガーデンの電気代と水道代か。
★
何故チャオと、人間が共存しているか。
それは、同盟を組んだからである。
チャオ達は、日々人間達の環境汚染や機会進化によって
自分達の住処が無くなりつつある、
そこでソニック達は、人間社会へチャオとの共存を勧めたのだ。
英雄ソニック・ザ・ヘッジホッグの意見というのもあってか、
すぐに意見は可決され、チャオ達は人間達に
ペットや友達の様に扱われ、生きていくのであった。
だが、すべてのチャオが人間達に売買されている訳では無い。
人間達を拒み、自ら天涯孤独に生きるチャオもいる。
★
―裕樹、どのチャオ飼うの?
美人の女の娘が来た。男の子を連れて。
姉弟だろうか?
だがしかし、この女の娘、可愛いな。
ん?俺の体の色、薄くなったか?
気のせいか。
―うーん・・・、できればピュアが良いんだよねぇ。
育てて、何ができるかな?みたいなお楽しみ要素があるし
それに感情にも左右されて、俺の感情も豊かになると思うんだ!
―(たられば話かよ。) じゃあ、ピュアで良いのを探しましょ。
二人が通り過ぎていった。
悔しい。折角、人間に飼われると思ったのに。
・・・、ムジュンしてるな。俺・・・。
ムジュンって・・・何だっけ?
アイツに訊かないとワカラナイや。
おい、ムジュンて何だ。
―矛盾?あぁ、物事の辻褄が合わない事だよ。
こいつは、友のチャオ。
ジンシンバイバイとか、ムジュンを教えてくれたチャオだ。
頭の良いチャオで、人間の事もよく知ってる。
さすが、テイルスと仲の良かったチャオだ。
―お、このチャオ良くないか?
―そうねぇ。
今さっきの姉弟が、知らないチャオを指差してる。
指差すな。恥ずかしい奴らめ。女の娘は違うが。
―このチャオでございますか?
有難うございます、@@@円でございます。
―これでお願いします。
―ありがとうございます、ゲージ、餌、等はあちらで売っております。どうぞ立ち寄ってくださいませー。
知らないチャオが買われた。そして、飼われた。
なんという事だ、俺も早く売られないとマズい。
こいつ等と一緒にすごしてしまう。
イヤだ、こいつ等となんて。
―おい、こっち睨むな。
おらっ。
痛いっ、殴ったなこの野郎!
―何をやってるんだね君は!控室に来なさい!
―・・・。
ついに、クビか、アイツも。
★
一ヶ月ほど前、チャオの狩猟捕獲が発覚された。
闇取引で、安価で質の悪いチャオが出回っている事が発覚し
ニュースなどで報道された。
チャオを扱っている普通の店でも、その可能性はあると判断された
自ら従業員になり、中間達とグルになり違法行為を犯す、
というのが、一般例だそうだ。
チャオは虐待などを受け、性格が凶暴となり
体色も黒くなっているそうだ。
★
んな、俺は黒いがアイツの所為でもないだろ。
どうせ、俺はクロタマゴから生まれたんだから。
―ありがとうございましたー。
今さっきの姉弟が帰って行った。
俺も飼われたかった。