2


―いらっしゃいませー!!

聞き飽きていた。この台詞には。

―本店では色々なチャオを売っております。

後になって、友から聞いたが
人間の場合、俺の立場だったらジンシンバイバイで
警察にツウホウだそうだ。
ツウホウって何だ?ジンシンバイバイ?
バイバーイ?

―どうぞ、ご覧くださいませー!

ふざけるな、俺は魅せる為に、ここにいるんじゃない。
それに、何故俺が売られなきゃならない。
そもそも、俺達がお前達に抵抗できないからって調子に乗るな。
回った金は、エサとガーデンの電気代と水道代か。



何故チャオと、人間が共存しているか。
それは、同盟を組んだからである。
チャオ達は、日々人間達の環境汚染や機会進化によって
自分達の住処が無くなりつつある、
そこでソニック達は、人間社会へチャオとの共存を勧めたのだ。

英雄ソニック・ザ・ヘッジホッグの意見というのもあってか、
すぐに意見は可決され、チャオ達は人間達に
ペットや友達の様に扱われ、生きていくのであった。
だが、すべてのチャオが人間達に売買されている訳では無い。
人間達を拒み、自ら天涯孤独に生きるチャオもいる。



―裕樹、どのチャオ飼うの?

美人の女の娘が来た。男の子を連れて。
姉弟だろうか?
だがしかし、この女の娘、可愛いな。
ん?俺の体の色、薄くなったか?
気のせいか。

―うーん・・・、できればピュアが良いんだよねぇ。
育てて、何ができるかな?みたいなお楽しみ要素があるし
それに感情にも左右されて、俺の感情も豊かになると思うんだ!

―(たられば話かよ。) じゃあ、ピュアで良いのを探しましょ。

二人が通り過ぎていった。
悔しい。折角、人間に飼われると思ったのに。
・・・、ムジュンしてるな。俺・・・。
ムジュンって・・・何だっけ?
アイツに訊かないとワカラナイや。


おい、ムジュンて何だ。

―矛盾?あぁ、物事の辻褄が合わない事だよ。

こいつは、友のチャオ。
ジンシンバイバイとか、ムジュンを教えてくれたチャオだ。
頭の良いチャオで、人間の事もよく知ってる。
さすが、テイルスと仲の良かったチャオだ。


―お、このチャオ良くないか?

―そうねぇ。


今さっきの姉弟が、知らないチャオを指差してる。
指差すな。恥ずかしい奴らめ。女の娘は違うが。

―このチャオでございますか?
有難うございます、@@@円でございます。

―これでお願いします。

―ありがとうございます、ゲージ、餌、等はあちらで売っております。どうぞ立ち寄ってくださいませー。


知らないチャオが買われた。そして、飼われた。
なんという事だ、俺も早く売られないとマズい。
こいつ等と一緒にすごしてしまう。
イヤだ、こいつ等となんて。


―おい、こっち睨むな。
おらっ。


痛いっ、殴ったなこの野郎!


―何をやってるんだね君は!控室に来なさい!

―・・・。


ついに、クビか、アイツも。



一ヶ月ほど前、チャオの狩猟捕獲が発覚された。
闇取引で、安価で質の悪いチャオが出回っている事が発覚し
ニュースなどで報道された。
チャオを扱っている普通の店でも、その可能性はあると判断された
自ら従業員になり、中間達とグルになり違法行為を犯す、
というのが、一般例だそうだ。
チャオは虐待などを受け、性格が凶暴となり
体色も黒くなっているそうだ。



んな、俺は黒いがアイツの所為でもないだろ。
どうせ、俺はクロタマゴから生まれたんだから。


―ありがとうございましたー。


今さっきの姉弟が帰って行った。
俺も飼われたかった。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第323号
ページ番号
2 / 2
この作品について
タイトル
AK事情
作者
クワガタ(マルル将軍)
初回掲載
週刊チャオ第322号
最終掲載
週刊チャオ第323号
連載期間
約8日