-今日この日は電話から-
夏休みを利用した、四神皇連邦主催、民間人が「自分の身は自分で守る」ことを前提とし、技術の向上を図った大会。
「SVCM the E,X」と、パートナーとなる生命体、“A-LIFE”通称チャオと、新機能、“Simulation Area”を使用した戦闘。
ぶっちゃけ、組織には悪いが、面倒臭い。やりたくない。かったるいと三拍子揃っている。
でも、俺が「やろう」という理由は二つある。
一つは、登校途中に会った、偉そうな奴。「隠岐次 恭司」って言う奴。そいつに負けたくないってのがある。
もう一つは―
Night of M-A-S-K Sean,6 「俺が出なかったら誰かあいつを守るんだ?」
休日。久し振りの休日。ちくしょー、こんな雰囲気、この小説には似合わん。(お前が言うな。)
もっと緊迫して、突っ込んで、白熱して、ヒートアップしないと!(全部同じ意味だ・・・)
こっちの世界には「受験」なるものはない。したがって、そっちの世界の「小学校」「中学校」「高等学校」が全部合併した形。それが「CTM」、我らがエベレード・ガーデン。
よって、導き出される結論は、「サタデーが休みじゃない」ということ。(普通に言え、普通に。)
本日は日曜日でございますから、明日からはまたスクールでござい。(だから普通に・・・)
昨日は徹夜で仕事だったんで、ビギも寝てる。俺は起きてる。なんでか?
・・・昨日の放課後の風景が頭に焼き付いて離れないからだ。
自慢じゃないが、俺は携帯電話というものを持ってない。パーソナルコンピューターもだ。
家にはテレヴィジョンひとつ無い。つまり、暇なんだ。
休みの日はいつも何してるかって?―決まってるだろ。
仕事も休みだから、ずっと家にいるときもあるし、買い物に行くときもある。でも、今日だけは違ったんだ。
ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!・・・爆音?違う違う。
・・・・・・着信音だ。(紛らわしい!)
月見里 「はい、もしもし、月見里ですけど只今留守に・・・」
「もっしもーーーし♪」
うるせえーーー!!黙れーーー!!つーか誰だーーー!!
いや、しまった。取り乱した。というか俺も悪かった。つい癖で留守と言ってしまった。
でも、電話に出てすぐに「もっしもーーーし♪」はないだろ・・・うるさいし。
月見里 「どちら様ですか?」
柴惠羅 『あたしよ、あたし。栃野 柴惠羅。あなたの愛する冴美の姉よ。』
月見里 「・・・今、どこから電話かけてる?」
柴惠羅 『まいほーむ』
だーーー!ちょっと待て!今、電話でかなり大きな声だったぞおい!
マイホームってことは、栃野がいるじゃないか!聞こえたらどうするんだ!?
柴惠羅 『大丈夫よ、大丈夫。冴美は今、お風呂だから。』
昼風呂ッスか。いや、朝風呂か?
月見里 「で、何のよう?」
柴惠羅 『今からうちこなーい?』
誰がいくかあ!!勢いでガチャッと電話を切る。でも、後悔する。
・・・休日に栃野と会えたかもしれないのに・・・
感傷に浸って、俺はベッドに潜り込んだ。ビギは大声にも動じない。さすがだ。
柴惠羅 「全くもう。相変わらずね。」
冴美 「誰に電話かけてたの?」
頭にバスタオルを巻いて、我が可愛い(すぎる)妹が出てくる。
ここで真実を伝えるべきか・・・いやいや、それは酷すぎるか・・・
そう考えていると、冴美が電話を取って、覆暦を調べてしまった。
冴美 「・・・月見里君ち?お姉ちゃん、月見里君と知り合いだったの?」
柴惠羅 「うん。まー、ちょっとね。」
冴美 「何はなしてたの?ずい分大きな声、したけど・・・」
危ないな・・・もう少しで“奴”の秘密がばれるところだった。まあ、私には関係ないけどね。
柴惠羅 「それは置いといて、買い物行かない?」
腹・・・減ったな・・・そう思って俺は冷蔵庫を開けてみる。
何もねえ・・・全部使っちまったのか、それとも主犯はビギか?
考えたって仕方ない。ここはやっぱり買い物に行くのが一番優先されると思う。
ドォォォォォォォ―プツッ。よし。着信音がなり終わる前に止めたぞ。
後で・・・着信音・・・変えとこう。
月見里 「はい、もしもし、月見里ですけど。」
「あー、焉か?俺俺。」
・・・誰だ?まさか今流行りの俺俺詐欺!?
月見里 「振り込まないぞ!」
「は?」
霧々 「いやー!ははは!まさか「振り込め詐欺」と間違えるとはねえ!」
うん。電話は霧からだった。紛らわしい・・・本当に紛らわしい・・・
勿論、俺の頭上にはビギ。大会であれこれ言ってて、スーパーとかにも卵が売ってるし、問題ない。
おまけに、町中にもチャオの影がちらちらと見えてきてる。
ただ、俺のビギは特別で、色が「水色」だけど、頭の先端とかが黄緑っぽい。
しかも、高尚な魔術が使えると来た。(俺の頭の上で、平気に寝るその根性が問題だけどね。)
買い物途中だが続きへ!