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アオバは、窓の外の遠くの山を手で指して、メグミの目を見つめました。
切なそうなアオバの目を見て、メグミは分かりました。
「そっか・・・、帰るのね。ご主人さまに会えるといいね」
ペコリとオジギをして、アオバはメグミの部屋を出ていこうとしました。
「待って、アオバ」
メグミは、立ち去ろうとするアオバを呼び止めました。
「アオバ、これを持って行って。キミはこれを探すために、この町に来たんでしょ?そんな大切なものを忘れていっちゃダメだよ。このお星さまは、大きくて目立つから、きっとご主人さまに見つけてもらえるはずだよ」
そう言うと、メグミは、クリスマスツリーのてっぺんにある大きなお星さまを外しました。
アオバは、お星さまを抱きしめながら、何回もオジギをしました。
そして、エンピツを持つと、たどたどしい手つきで字を書きました。
ア・リ・ガ・ト・ウ
もう一度、オジギをすると、アオバは走り去りました。
まるで、振り返ると別れることができないかのように、まったく後ろを見ることはありませんでした。
部屋にひとり残されたメグミは、アオバと出会ったのが夢だったように思いました。
でも、「アリガトウ」の文字と、お星さまの飾りのないクリスマスツリーが、アオバが本当にいた証になっていました。
「さよなら・・・」
クリスマスイブのチャオの森では、チャオたちみんなでクリスマスツリーの飾りつけをしていました。
みんなで集めた飾りをツリーに飾っています。
いくつもの素敵な飾りの中でも、ひときわ輝くお星さまを見つけてきたチャオがいました。
クリスマスツリーのてっぺんを飾る、大きなお星さまです。
そのお星さまがクリスマスツリーのてっぺんに飾りつけられた時、そのチャオ、『アオバ』は、そのお星さまをくれた人のことを思い出していました。
その人は、ご主人さまと同じくらい大好きな、もうひとりのご主人さまなのです。
おわり