第1話
「なんだ。もう無理か?」
勇者の特訓場で剣のぶつかる音が鳴り止んだ。
相手はガタガタ震えていて剣を取り落とそうとしていた。
―彼の名前は『チャッカス』―
「う…あ…。」
薄暗い中、チャッカスはトボトボ歩いていた。
家へ帰ると母が夕飯を作っていた
「おかえり?どうだった?」
「まただよ…いつもそうなんだ…。」
部屋へ入ろうとすると母が呼び止めた
「あ。部屋でずっといるならその煮物持っていきなさい。」
色とりどりの木の実がカオスドライブでふにゃんふにゃんにされていた煮物がテーブルに置いてあった。どうやらこれが夕飯のようだ。
「ん…。」
チャッカスはあいまいな返事をすると二階の自分の部屋へと向かった
その後は剣の手入れに没頭(ぼっとう)した。
「そろそろ…いいかな…?」
ピカピカになった剣を見つめ続けた。するといつの間にか眠ってしまった。
「アス…ムカエ…クル…。」
「誰!?」
チャッカスは飛び起きて辺りを見回した。誰もいない、寝ぼけてたのだと思いまた眠りについた。
「ツキ…カケラ…ワガモノ…クニ…ワガモノ…!ヒトビト…フクシュウ…。」
不気味な声だが、チャッカスは聞き覚えがあった。でも憶えていない。また起きると汗びっしょりだった。
「月のカケラ…?国?我が物…?!!」
チャッカスはお城に飛んで行った。チャッカスの村は城下町なのだ。
「なんだお前は?まだ夜中だろうが?」
「王様に会わせてください!」
チャッカスは慌てて小さいルビーを見せた。
少し前に『王様に自由に会っていい』という印にもらったものだ。
「そうか。まぁいいだろう、早く行け!」
見張りに厳しく言われ、チャッカスは王様のいる場所へ走った
「お、チャッカスか?どうしたのだ?」
王様はチャッカスに好意的なのだ。
チャッカスはさっきの夢の事を全部話した。
「…ふむ。それは…呪いの獣が復活したのか?だが、強い魔力が封じられているあの壊された水晶月のカケラが全部あつまったら、呪いの獣が世界を我が物にしようとするだろう…なにかいい案は…。」
王様がオロオロとしていた。
「そのカケラを誰かが先に全部集めてその魔力で封印したらいかがでしょう?」
側にいた大臣が静かにささやいた。
「おおそれだ!よしチャッカス、お前が行ってくれ!」
「なんですってー!!?」
どーなる事やら…
~~~~~続く~~~~~~~~~