チャオのショートショート2 闇の取引所と取引しよう

チャオのショートショート2 闇の取引所と取引しよう

─チャオの卵・木の実・被り物、何でも取り揃えています─
闇の取引所が、広告に使ったキャッチコピーです。
そんな広告が、彼の目に付きました。ポヨも、一気にビックリマーク。

彼は、被り物の密売─いやいや、問屋業者。
そこで狙った買取口が、あんな店構えでも、世界一の売り上げを誇る、闇の取引所幼稚園支部。
しかも、あんなセンスのへったくれも無いダンボールでも、そうとう高い値段で取引されているそうじゃないですか。
それに、在庫も無限大と聞きます。
加えて、需要の少なかった被り物業界で良い品を出して人気を博し、業界を独占すれば─

いやいや、考えすぎかな、うん。


─これを機会に、営業成績を伸ばしてやる─
彼は、スーツケースを手に持って、幼稚園へと出かけました。

商品には、自信があります。
なんだって、今度の商品は、チャオを投げたり攻撃したりしなくても、ちゃんと取れるようになっているのですから。
被り物が売れないのは、チャオを傷つけなくては外せない、そのシステムのせいです。
そこで、彼は記憶超合金で内部を・・・まぁ、ややこしい話は置いておいて、とにかく優しく外せる被り物を、開発したのです。



「ふんふんふん・・・それで、チャオに嫌われること無く、ファッションを楽しめると・・・」

─よし、なかなか好印象だ─
彼は、商品の特徴を店長に精一杯説明しました。熱弁というやつです。
サングラスに、マスクに、隣には半漁人。
よく分からない趣味ですが、やっぱりウワサどおり密売を─いやいや、それは置いておいて。

「ですから、全世界のチャオラーに大好評間違いないですよ!!デザインだって、プロのデザイナーが・・・」
「ううん、こんなの、意味無いね。手で外せたって、仕方無いよ」

「へっ?何故─?」

にやりと笑って、店長は言いました。


「Bボタンに『はずす』っていうコマンドが無い限り、手で外すなんて不可能だね」


─Fin─

この作品について
タイトル
チャオのショートショート2 闇の取引所と取引しよう
作者
ぺっく・ぴーす
初回掲載
週刊チャオ第158号