春
春 「生まれ」
今日から家族だぞ
そう言って僕を買ったのは優しそうな夫婦だった。
夫婦は僕を一流のアスリートに育てると意気込んで、たくさんのカオスドライブを持ってきた。中でも緑色のカオスドライブが多くて、それでも何とか、毎日全部飲み干していた。
家族は家族のために
それが「この家」の家訓だ。
カオスドライブはいっぱい飲んでいたけれど、僕の成績の伸びは良くなかった。もう走りたくない。そう感じていた。
しかし僕も家族の一員である以上は、家族の役に立たなければならない。
役に立たなければならないのだ。
僕が一歳になるころ、進化の兆しが見られるようになった。体が黒く変色し始めたのだ。そのようすを見た夫婦は、
ダークチャオになるのは怠けている証拠だ
家族でありたければ、努力しろ
と言って、またたくさんのカオスドライブを持ってきた。
ダークチャオになることはできない。だから僕はヒーローチャオになった。
その頃から少しずつ、僕の成績は伸び始めた。