とある青年の一日
「やった! ねんがんの DSiを てにいれたぞ!」
ゲームショップの前で一人の青年が大声をだしている。
その青年の手にはDSi。某任天堂の新型DSである。
しかしこれはGBA用のゲームが動かない。
そこで青年は決心した。
GBAカセットをすべて売ろうと
その青年は家に帰るとGBAのソフトが大量に入っているケースを取り出した。
「うわあ・・・久しぶりにこのケース開けたなぁ・・・」
青年は一個一個確認しながらGBAのソフトを取り出していく
「ソニックバトル」
「チューチューロケット!」
「みんなでぷよぷよ」
「ソニックピンボールパーティ」
「ぷよぷよフィーバー」
「ソニックアドバンス3」
「ソニックアドバンス2」
そしてGBAの中に入っていた「ソニックアドバンス」
思えばSEGAのゲームが多いなぁと青年は思う。
そういえば昔、チャオにとてもはまっていてゲームキューブにつなげたりして遊んでいた記憶がある。
しかし、いつのまにか忘れていた。
青年はなんだかとても懐かしくなりGBAを起動させる。
懐かしい音がする。
そしてタイトルがでてすぐにチャオのプチガーデンを選択する。
そしてそこで青年は衝撃的なものを見てしまう。
「ヒトリジャサビシイタスケテ」
本当に衝撃的だった。
ただのゲームだと思っていたのに。
このチャオはもともとソニックアドベンチャー2バトルにいたチャオをこちらに引っ張ってきたチャオだ。
何故こんなことになったのだろう。
このチャオは一番大切に育てていた筈なのに。
いつのまにか忘れていた。
新しいゲームが出たらついそっちに気が行ってしまった。
青年は急いでGBAケーブルを探した。
・・・
・・・・
・・・・・
・・・・・・無い。
見つからないのだ
長年放置してきたせいで。
青年は「ごめんな、長い間一人ぼっちにさせてごめんな」と半ベソ状態で探し続けます。
何故かはわからないがゲームが心を持ってしまった。これは事実だ。
しかしGBAケーブルはみつからない。
「・・・買いに行こう」
青年はサイフと電源をいれたままのGBAを持って急いでゲームショップに向かった。
「・・・ッ・・・はぁはぁ・・・」
近くにある普通のゲームショップ。自分はよくここにくる。
急いで入るとすぐに周辺機器のコーナーに向かう。
「・・・無い・・・?」
青年は絶望というものを感じた。
隅から隅まで探したのに無いのだ。
急いでレジに向かって「GBAケーブルありませんか!?」と大きな声で叫ぶ。
「GBAケーブルですか?・・・少々お待ちください・・・」
そういうと店員は奥へと入っていった。
どうやら在庫を確認しているようだ。
「急がないと・・・」何故かそう感じていた。
急がなければいけない理由など何も無いのだ。しかし、急がなければいけないと感じていた。
きっとこのチャオの「死」を感じていたのだろう。
本来、チャオのプチガーデンに死、転生の概念はない。
しかし、突然現れた異常・・・これに死の恐怖を感じざるを得なかったのだ。
そうこう考えているうちに店員が出てきた。
「現在GBAケーブルは品切れとなっておりまして・・・」
「えぇ!?・・・失礼しました!!」
聞いた瞬間すぐに店を飛び出た。
行くあてはない。近くにゲームショップがもうないのだ。
「・・・そういえば」
昔、一緒にチャオを育てていた友人がいた。
しかし、いつからか遊ばなくなった。
でも、アイツならきっと持っている。
青年は走り出した。
「・・・ついた」
チャイムをならす。
懐かしい音がなる。そういえば人の家のチャイムを鳴らしたのは久しぶりだ。
「はい」といいながらドアが開く。
「・・・おう」
青年は照れくさそうに挨拶をする。
「・・・うっす・・・突然どうしたんだ?」
この瞬間、何故か焦りが消えていた。
「いや・・・チャオが」
「チャオ?」
「あぁ・・・俺のチャオがこんな状態に・・・あれ?」
あのヒトリジャサビシイタスケテというフキダシは消えていた。
何故消えたのかはわからない。
「チャオか・・・懐かしいな・・・あの時は楽しかったな」
「あぁ・・・」
「こんなところじゃなんだ、あがれよ」
そう言われると「悪いな」といって青年は友人宅にあがる。
二人は最近あったことや昔の話、そしてチャオの話をした。
来てから何時間経っただろう。
青年は来た理由を忘れていた。
青年はもう時間だということをつたえ、友人宅をでた。
辺りはもう暗く、寒くなっていた。
寒くてポケットに手をつっこむと機械の感触がした。GBAだ。
電源はまだついている。
しかし暗くて画面が見えない。
青年はGBASPはもっていなかった。
明るい場所に移動すると画面にいたチャオがフキダシでこう喋っていた
「フタリデナカヨシタノシイチャオ!」
その後、友人とは度々会っている。
GBAのソフトは売った。
しかしGBAとソニックアドバンスだけは残っている。
何故あの時あんな風になったのかはわからない。
けれどあれは自分の心をチャオが読み取ったのではないかと思っている。
チャオのおかげで絆は元にもどったのだ。
ありがとう・・・チャオ。