小説事務所 「Continue?」
――夢を見ている感覚がある。
どこか現実には思えない。そう否定し得る材料を、私の本能が用意している。それを持ってして、今の光景を否定する。
何が違うのだろう。
私はいつも、敏感に夢を夢と判断するあまり、いつしか夢と現実の境、線引きばかりを気にする。
それは暑い夏の日、学校の大きなグラウンドに引かれた白線に指で触れるように。
グラウンドは今日も賑やかだった。
設置されたゴールの一つを使ってサッカーをしている子供達や、中央に引かれた白線のラインでドッジボールをする子供達。空いたスペースで縄跳びをする子供達もいるし、鬼ごっこをしている子供達もいる。
私はそんな子供達をぼーっと眺めながら、和気あいあいとした声や蝉の鳴き声に耳を傾け、眩しい日差しに視界を眩ませる。
ふと、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
子供達は促されるように遊戯に使っていた道具を持って、校舎へ小走りして向かっていった。
ものの数分で誰もいなくなり、見えるのは砂色のグラウンドと歪んだ青い空、聞こえるのは今にも消えそうな蝉の鳴き声だけになった。
そして、授業の始まりを告げるチャイムが鳴った。
そのチャイムを聞いて、ぼーっとしていた私も早く行かなくてはと思わず腰を上げて校舎を見遣ろうとしたが、その体はすぐに元の位置に収まった。
そういえば、私はここの生徒じゃなかったな――と。
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私の夢は、これで終わりだ。
これから、悪夢が始まる。
忘れられない悪夢。
否定しようのない悪夢。
それらは夢ではなく現実だけど。
比喩だけど。
比喩ではなく。
それは悪夢以外の何物でもなかった。
それは夢ではなく現実だった。
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※この物語をご覧になる前に、あらかじめ「Repeatを欠けろ」を読んでおくことを推奨します。
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