さよなら、チャオガーデン

青々とした芝。
どこまでも青い空。
おいしい木の実がいっぱいあって、
大好きな仲間たちと一緒に暮らしてきた。このチャオガーデン。

さようなら。

私、今、ここを出て行く。そう、チャオの森にいくの。

ごめんね。みんなが寝ているときにこっそりと。みんなのこと、だーい好きだよ。でも、前からきめてたの。

私は天上にむかって目を閉じた。

「チャオの神様、どうか私をチャオの森に導いてください。」

目の前にあらわれた、大きな扉を 私は迷いもなく押し開けた。まぶしい、白い光の道が続いている。

「さようなら。・・・ご主人様。」

私の水色の頬に、涙が一筋流れた。私はふりかえらず、光の道へ歩き出していた。


どのくらい、時間がたったろう。
どのくらい、歩いたのだろう。

ふと、見上げると、ここはチャオの森の入り口だ。

よかった。ちゃんとついたんだー。

安心したら、急にへとへとになった。なにかはりつめていたものがゆるんだみたいに。

ガーデンのみんな。
ご主人様。
私はちゃんと森についたから安心してね・・・。

くぅ くぅ。
私はそのまま眠っていた。


夢。夢をみてる。

チャオガーデンだ。これは、夢。だって私がいない。私がみんなをみてるし、みんなの声も聞こえる。
あれ?
みんな、泣いてるの?私がいないって?

ナイツのオウムちゃん、そんなに悲しまないで。よく 一緒に木の実食べっこしたよね。いつもお空を自由にとびまわっていて、うらやましかったよ。私も飛べたらなぁ。

ミズチャオのラッコくん、いつもいつもお池の中にいたよね。私がおぼれていると、「またかよ、しょーがねーなー」なんていいながら、やさしく助けてくれた。

強くて、元気なオニチャオのゴリラくん、はいはいしかできない私が疲れてへこたれていると、おなかをたたいて励ましてくれた、とってもやさしいお友達。チャオカラテ優勝、おめでとう。君なら必ず免許皆伝になれると思ってた。

とうめいチャオのカボチャちゃん、あなたが生まれたてのころは、カボチャかぶってなくて、よくぶつかっちゃってごめんね。たんこぶできてたみたいだけど、それも見えなくて わかんなかったよ。

そして、チャオレースオールクリアしたあこがれのスーパーソニチャくん☆あなたの周りにお花が咲いて、私のほう見てくれたのに、逃げだしたりして、本当にごめん。ホントは・・・すごく好き。今でも。でも、あなたはきらきら まぶしすぎて。

私はダメなチャオなの。
あるけない、泳げない、飛べない、力も、体力もない。

ご主人さまになでられたことも、抱っこされたこともないし、木の実もらったこともない。動物たちも、カオスドライブも、一度ももらえなかった。

でも、私、ご主人様のこと嫌いじゃない。
たまごの私をずっとだっこしてくれて、気持ちよくゆすってくれたの 覚えてるの。

あっ!ご主人様がガーデンにはいってきた!
なにか探してる?・・・もしかして私を?まさか。なんで?

「なんでいないんだよー。どこにいったんだー。そろそろ転生しちゃうと思って慌ててきたのにー!
 おーい!ライカーーー!!」

ライカ。私の名を呼んでる。
ご主人様が、必死になって。

ご主人様!勝手なことしてごめんなさい!
会いたい。ご主人様のそばににきたい。見ているだけでいいから。
帰りたい!ご主人様のいるチャオガーデンに!

そして、急にあたりがまぶしく光った。


「わーーー!こんなところにいたのかぁ!よかったぁ。」

おでかけマシーンの裏にいた私をご主人様はやさしく抱き上げた。

「おいおい、そんなに泣いてイヤがるなよ。悪かったよ。今までほったらかしにして。でも、わかってくれよ。おまえを立派なライカにしたいんだ。
お前がまゆになるまで、今日はずっーと一緒にいてやるよ。」

その言葉は本当だった。ご主人様は私をなで続けた。木の実もたくさんとってくれた。私は極上の幸せを感じていた。


気分屋のご主人様。あなたのところに戻れてやっぱりよかった。
この後、またどうなるのかわからないけど、あなたを信じてあなたのそばにいます。

私はピンクのまゆにつつまれながら、静かに目を閉じた。



おしまい。

この作品について
タイトル
さよなら、チャオガーデン
作者
ちいるん(ラブルージェ)
初回掲載
週刊チャオ第12号