にっきのなかの1ぺーじ

―日記―


ある、都会にいっぴきのチャオがいた

そのチャオに、名は無く、ただ、マンションの一室で、窮屈に暮らして
いた。毎日同じように生活するとそれも飽きて来るものだ。と、その時
一匹のチャオがそのチャオの家に、訪ねてきた

「寒くなったな」

訪ねてきたチャオは、話しかける

「都会の生活には慣れてきたのか?」

「まぁそれなりに、慣れてきたけど、窮屈だよ。都会なんかに出てこな
いで、田舎でのびのび生活していた頃が懐かしいよ」

訪ねてきたチャオは笑みを作った。どうやら訪ねてきたチャオも、マン
ションのチャオと、一緒の気持ちのようだ。

「そういえば、昔は日記を書いていたっけ、確かその日記を書き始めた
のは・・・」

訪ねてきたチャオが、ふと机を見ると、(つくえといっても、小さくて
チャオにはちょうど良さそうな大きさの机だけど)少し古い、日記帳が
おいてあった

「あの日記か~なつかしいな」

そう訪ねてきたチャオが言いかけると、マンションのチャオが、日記を
手にとって、一番最初のページを開いた

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

―▲月■日―

今日は、初めて町へ行った

そこには見知らぬ物がたくさんあった

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「町は、こんな風になっていたのか」

マンションのチャオは、町の入り口で、忙しそうに流れる人々、とても
速く走る色とりどりのはこ、とても高いガラス張りの建物、いつまでも
絶えない音、少し汚れた空気を感じていた。そして、感心していた

「でも、少し空気が汚いよ」

チャオは歩き始めた、歩いていても、初めて見た物がいくらでも目に入
ってくる。赤色、黄色、青色に変わる光を放っている機械や、木が少な
いこと。チャオは人混みでいろいろな物を見ていた。人々に押しつぶさ
れそうになったり、足を踏まれそうになったりもした。

それでもチャオは、すごくときめいていた。

(ガーデンとは比べ物にならないな、ガーデンには木の実と水と、きし
かないのにな)


こうして、買い物をし、そのチャオはガーデンへと帰っていった
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「なつかしいな。こんな理由で都会に来たなんて忘れてたよ」

「ほんとだね。おっと、そろそろ仕事に行かなくちゃ」

「ばいばい、また今度、田舎に戻ろうかな・・・

この作品について
タイトル
にっきのなかの1ぺーじ
作者
ポトッチ(ぽと)
初回掲載
週刊チャオ第143号