何度目かの夏・・・
夏...
七度目の夏。
こいつと出合ってから七度目の夏。
繰り返す波の音とどこまでも続く底抜けに青い空を背に
波打ち際の砂浜をヨチヨチ歩く小さな水色の丸い玉
・
・
・
夏...
三度目の夏。
こいつが俺の所にやってきて三度目の夏。
あいつが俺の隣にいなくなって三度目の夏。
それは六月の雨の日、
あの日白い部屋で交わされて1つの約束。
あいつと交わした最後の約束...
・
・
・
いつしか夏の空は青からオレンジへと変わっていた。
水平線の彼方から波打ち際へと目をやると
水色のチビが無邪気な笑顔でこちらにやってくるのが見えた。
その手には貝殻がひとつ。
それは、この小さい水色の生き物が夏の海でいつも拾ってくる物。
・
・
・
夏...
三度目の夏。
こいつが拾ってくる貝殻が二つから一つになってから三度目の夏。
のんきな顔をしたこのチャオは、
自分のご主人が俺に代わった事を知っているのだろうか?
「帰るぞ。」
「うん。」
砂浜を立ち去ろうとした俺の背後から三年前の懐かしいあいつの声。
思わず振り返ったその先には、
不思議そうに俺を見つめる小さな生き物一匹と夕暮れの夏の海。
・
・
・
夏...
何度目かの夏。
二人の夏にやがて一匹が加わり、今は一人と一匹の夏。