~第2巻 勇者の条件~
ヴィーズ 『オレが・・・勇者・・・』
ヴィーズは唖然とした。 夢にまで見た光の勇者になれたのだから。
ーーーー新たな勇者はアナタねーーー
不思議な空間へと飲み込まれ、どこからかとも無く不思議な声が降り注いできた。
ヴィーズ『誰だ・・・出てこい。』
ヴィーズは低い声で声主を呼んだ。
ーーーしょうがないわねーーー
暗い道から一匹、チャオが出てきた。
紫色で、目は何もかも見透かすような群青色。
そして。右腕には意味深な包帯が・・・
ヴィーズ『名は・・・?』
ーーー名を訪ねるときは、自分から名乗るものよ。ーーー
ヴィーズは、その言葉に反応した。
ヴィーズ『オレはヴィーズ・アクセス。 コレで良いだろ。』
ーーー私はゲールグ・シャイリーン。ーーー
ゲールグと何分か話した。 そしてついに先ほどから聞きたかったことを口に出した・・・・
ヴィーズ『お前は、オレに用があるのか?』
ゲールグ『えぇ。 伝えたいことがあってね。』
ヴィーズ『勿体ぶらないで言え・・・』
ゲールグの用件は、光の勇者になれる条件だった。ゲールグから出される問題五問を素直に答えればいいと言うことだった。
ゲールグ『最後・・・5問目。 アナタは光の剣を引き抜けた?』
ヴィーズ『あぁ。 引いた剣はお前に渡した。』
ヴィーズは1問目から5問目まで理由付きで、しかも事実をゲールグに言った。
・・・・・長い沈黙が流れた。そして
ゲールグ『あなたは・・・・』
ヴィーズ『・・・・』
ーーーーーーー光の勇者に任命するわーーーーーー
ヴィーズははしゃぎたかった。嬉しくて。でも光の勇者がコレ毎時ではしゃぐと格好悪い。はしゃぐ気持ちは次第に勇気、そして不安に変わっていく。
ゲールグ『アナタの・・・旅の支度をしましょう。 アナタに渡したい物もあるし。』
二人は神殿を出て歩き始めた。 南の方角へ。
道行く物に挨拶し、愛想を取った。
ゲールグは神殿の守る一族の娘だった。
まだ二次進化もしていない幼いチャオなのに・・・
そんなゲールグよりも、神殿を守る一族よりも
ヴィーズ・・・・すなわち光の勇者を見届けるべきでは無いだろうか。幼くして光の勇者候補になれたコト、それは応援すべきのことでもあった。
光の勇者になれたのは、ヴィーズ本人は嬉しく思っていた。
(オレが・・・・このミッドフィーリングを守る。)
そう心に決心し、力を入れて旅する方角へ目を向けた。
日は、30分すれば暗闇へと巻き込む高さだった。