森の中のトモダチ

これは、チャオガーデンに住むチャオのお話。

アイリス「ふぁぁ~…」
メーデ「おはよう、アイリス」
アイリス「ん~…あ、おはようメーデ」
メーデ「ねぇ、今日は約束の日じゃないの?」
アイリス「約束ぅ…?……あ」
そうでした。今日はアイリスが仲良しの友達に会いに行く日なのです。
アイリス「は、早く行かないと!!」
メーデ「いってらっしゃぁーい」

2ヶ月前。
アイリス「フレイヤ、行かないでぇ!!」
フレイヤ「ごめんね、でも仕方ないの」
ガーデン内のチャオがあまりにも多くなってしまったので、フレイヤは遠くの森に引っ越すことになったのです。
フレイヤ「ここの森にいるから、今度遊びに来てよ」
アイリス「……うん、絶対行く!だから待ってて」
フレイヤ「待ってるよ、アイリス」
アイリス「…またね」
フレイヤ「……っまたねー!」
こうして、二人は約束を交わし別れて行ったのでした。

そして今日が約束を果たす日。
アイリス「え~…っと、こっちだよね」
チャオガーデンを出発して1時間。未だに森は見えません。
アイリス「疲れたなぁ……」
地面に座りそうになったアイリスは、前方に緑色の影を見ました。
アイリス「あ、あれは…森?……森だぁ!やっと見つけた…」
小さな足を懸命に動かし、アイリスは森の中へ走っていきました。

太陽が照りつける中、アイリスは森の中を彷徨っていました。
アイリス「森の中って広いなぁ~…フレイヤどこだろう?」
ガーデンから出た事がないアイリスには、森はあまりに広すぎました。
アイリスはフレイヤを見つけることが出来ません。
アイリス「うぅ…フレイヤどこにいるの…?」
今にも泣き出しそうな表情でアイリスはへたりと座り込んでしまいました。
フレイヤ「ここにいるよ、アイリス」
後ろから声がかかりました。
振り返ってみると、そこには2ヶ月前と同じ姿で友達が立っていました。
アイリス「ふ、フレイヤぁ~…会いたかったよー!」
フレイヤ「ワタシも会いたかったよ!来てくれてありがとう…」
2ヶ月ぶりに仲良しの友達は再会を果たしました。
フレイヤ「もー聞き慣れた声が聞こえたから行ってみたら、泣きそうな顔してる友達が座り込んでるんだもん、びっくりしたよー」
アイリス「う…だ、だってこの森広いんだもんっ」
フレイヤ「まーワタシも最初来た時は迷ったけどね」
アイリス「それじゃお互い様じゃん!……ふふっ」
フレイヤ「あっはははははは!」
二人「あはははははははは!!」
森の中に笑い声が響かなくなったのは、夕方のことでした。
フレイヤ「ははははっ……はぁ、はぁ……あーお腹痛いーー」
アイリス「ほ、ほんと、ワタシも痛いぃ~」
フレイヤ「ふー…ねぇアイリス、ワタシの仲間を紹介しよっか?」
アイリス「あ、うん!案内して!」
フレイヤ「了解!」
フレイヤを先頭に、2列だけの行進が始まりました。

仲間達「おかえりフレイヤー」「どうしたのー?そのコ」「誰?友達??」
フレイヤ「ワタシの前住んでたとこの友達だよ」
アイリス「初めまして!アイリスっていいます」
仲間達「初めましてーよろしくねぇ」「ねー今日は泊まっていくの?」「そうしなよー」
フレイヤ「もう遅いしねぇ、そうしない?」
アイリス「えと、じゃあお願いしますっ」
その夜、チャオ達は皆一緒になって騒ぎ明かしました。

次の日の朝、アイリスは帰らなければなりません。
仲間達「えぇーもう帰っちゃうの??」
アイリス「はい、でもまた来ます!」
フレイヤ「いつでもおいで!今度は迷わないでね♪」
アイリス「も、もう迷わないもんっ!」
仲間達「私達も待ってるよー」
アイリス「それじゃあまた!」
仲間達「まったねー」
フレイヤ「バイバイ!」
アイリスはチャオガーデンに向かって歩いていきました。

この作品について
タイトル
森の中のトモダチ
作者
神崎揚羽(紅黒梓)
初回掲載
週刊チャオ第266号