10話

平日の昼下がり、少し勢いを弱め始めた日光がサンサンと降り注ぐ。
雲ひとつない快晴 
暮れるまでの後数時間は大陸全土に降り注ぐ。
アスファルトの道路上にも、白で統一された清楚な病室にも。
そしてまた真っ白なプリントが溢れかえるオフィスにも光は差し込んでいた。
決して広いとは呼べない空間内に反射光で外より眩しく照らされる。いくら冷房が効いているとはいえあまりに眩しすぎる。
昼寝するには合わない場所だ。

「・・・ぁぁあ!もう!!」
プリントの山から突如現れたのは、女性であった。
女性といってもどちらかといえばまだ少女。あどけなさや幼さもその不機嫌そうな顔には露わとなっていた。
乱れた亜麻色の髪を手ですくい、またも雪崩が起きる。
その度に少女は用紙を掻き分けこう叫ぶ。
「もう嫌!!紙が多すぎるわよ!!!」

一拍空けて溜息一つ。
そして周囲を見渡すと・・・
「な・・・なに?」
プリント雪崩の向こうから微かに感じる視線。
そうここは共同の仕事場。 この白い山の向こうには他の人が仕事をしているのだ。 彼女の上司達が・・・・



「なんでこうも雪崩が起きるのかなぁ? 私のは特に。」
そう私がぼやくとまた周囲から冷たい視線を感じた。
—だってそうじゃない! それともやっぱり・・・

「やっぱりあなたは雑なのよ~行動や計画が!」
「そんなことないわよ!!」
「それにすぐ挑発に乗っちゃうからまだまだお子様なの!」
「~っ・・」
言い返す言葉なんてない。
た・・・確かに私は整理整頓は好きじゃないし。
ドミノするのも他の人が並べたのを私は押すだけだし・・・。

「汚名返上といきたいのならこれ 頼まれてくれない?」
そう言われて一面白世界の中からその頼みごとが書かれた紙を受け取った。
そこに書いてあるのを目に通していると先輩は元気そうにこう私の背中を押す。

「あなたにはこっちのがお似合いよ!ちゃんと片づけしといてあげるから!!」

仕事場を軽く背を押されるように追い出されてしまう。
—この中なら私も皆と対等の立場のはずなんだけどなぁ・・・。
エレベータに駆け込み、誰もいない個室で私はポツリと呟いてしまう。

「外じゃあ・・・・私なんてただの16歳にしか見えないじゃない・・・」
感傷に浸る間もなく、私は紙切れ一枚と財布を持って外に放り出される。
正直乗り気ではなかったけど、私はこの紙切れに従う様にした。


このページについて
掲載号
週刊チャオ第330号
ページ番号
13 / 31
この作品について
タイトル
Lord
作者
キナコ
初回掲載
週刊チャオ第319号
最終掲載
2009年5月12日
連載期間
約1年17日