悲しみのジュエルピュア。
それは、ゲームキューブ版への移植作が急ピッチで作られてる頃だった。
今度のチャオは、どうなるのだろう?
ドリームキャストのチャオ達は、それが気になってどうしようもないです。
ガーデンで木の実を拾い食いする時も、スパイラルアッパーで吹き飛ばされる時も、すんごく気になって、チャオの愛らしさをふりまくことが出来ません。
もし、ゲームキューブに新しく、かわいい新種チャオが登場しようものなら、誰もドリームキャストのガーデンには来なくなるでしょう。
開発室に忍び込み、その真相を探りたいのですが、それは不法侵入罪という、犯罪行為。
悪い子の範疇をこえ、極悪人です。
もし捕まったら、一族郎党皆殺しの上、お家断絶です。
しかし、気になるものは気になる。
そこで一匹のチャオが、開発室に忍び込みました。
そして彼は、驚愕の事実を知ったのです。
最近発見された、色チャオやつやチャオ。
それがゲームキューブガーデンには登場するらしいです。
しかし、ドリームキャストガーデンには、登場させないみたいです。
これではみんな、ゲームキューブガーデンに走ること請け合いです。
「そ、そんなあ、ひどいちゃお!」
「誰チャオ?」
思わず声を出すそのチャオに、警備員のオモチャオが気が付きました。
「や、やばい、逃げるちゃお~!」
彼は走りました。
もし捕まったら、殺されるでしょう。そして、自分と同じ種族のチャオも、皆殺しです。
それだけは避けなければ!
彼は必死に走ります。しかし、スタミナ切れを起こし、あまり速度があがりません。
対するオモチャオは、歩みは遅いが、彼のゼンマイはちょっとした風があれば回るという、一種の永久機関。
チャオは、逃げきれないことを悟ると、全身の皮を剥ぎました。
そして、お目目とお口のパーツも取り外し、火にくべます。
そして、
「お・れ・は、ぼ・け・りん。
ぼけぼけぼけぼけ、ぼ・け・りん。
いろんなジャンルのチャオ小説に挑戦する、チャオ作家。
書いた文量も、ピカイチさ。
…って、ゆーじゃな~い?
でもあんたの作品、元ある話を、チャオに置き換えただけですから~~!
残念!!
盗作疑惑で、活動自粛斬り~~!
かくゆう拙者、ぼけりんの書いたチャオちゃお。切腹!!!」
チャオは、自ら命を絶ちました。
オモチャオが追いついた時、ぷにぷにでぽよぽよな物体が転がってました。元は何チャオなのか、判断できません。
オモチャオが開発室にその物体を持ち帰ると、開発室長は、こいつがどの種族のチャオかを突き止めろと言いました。
今度のゲームキューブに、こいつの一族は出さない!
そして、種族が判明するまで、移植作の作製は中断です。
チャオガーデンに、その物言わぬぷにぽよがさらされます。
「コイツノ一族ハ、名乗リデルチャオ。」
警備員のオモチャオが呼びかけます。
しかし、誰も名乗り出ません。
そして、これ以上の製作延期は、発売日に間に合わなくなるという日、一匹のチャオがそのぷにぽよの前で泣き崩れました。
ジュエルピュアチャオでした。
「こいつは、私の弟ちゃお。今までずっとさらしっぱなしでごめんちゃお~。ふえ~ん。」
名乗り出たジュエピュアに、オモチャオは不思議がります。
「オ前ハ、ナンデ名乗リデタチャオ?ソレデハ、一族ヲ守ロウトシタコイツガ、浮バレナイチャオ。」
ジュエピュアは涙を拭うと、オモチャオに言います。
「私が名乗り出なかったら、確かに私の一族は無事だったちゃお。
でも、こうまでして一族を守ろうとした彼の名は、後世に伝わらないちゃお。
彼の名は、永遠に残すべきちゃお!」
後日発売されたゲームキューブ版に、ジュエルピュアはいませんでした。
しかし、ジュエルピュアの名はユーザーの間に広まり、ジュエルピュアの研究が盛んに行われたそうです。
おしまい。