ジュケンにポトる

「はい、じゃあ名前を言って下さい」
「ロッカクちゃお!趣味は、食べることと寝ることちゃお!」

「さて、世間には、この時期言ってはならない言葉というのがあるそうちゃお」
「な、なにちゃおかそれは!?」
「それは『落ちる』ちゃお~」
「『落ちる』?」
「そちゃお。『落ちる』と口にしてしまったチャオは、
 オヤツ抜きの刑にされてしまうという、それぐらい恐ろしいことちゃお」

「・・・一体、なんでそんなに厳しいちゃおか?」
「それはこの時期、ジュケンというものがあるからちゃお。
 ジュケンをする人にとって、『落ちる』というのはとっても不吉な言葉ちゃお。
 全国にジュケンをする人はたくさんいるちゃお。
 だからそのために、『落ちる』と言ってはいけないちゃおね」
「この国にも、そんなゲンロントーセイがあるとは、知らなかったちゃお・・・」

「この季節だけ気をつければいいことちゃお!」
「そうちゃおか?ロッカクはどうしても、その言葉を言ってしまいそうちゃおけど・・・」
「例えば、この間ギョーザが回収されたっていうニュースがあったちゃおけど、
 あれはそのギョーザに、『落ちる』という名前の付けられた薬が使われていたらしいちゃお」
「それだけで、あんなに世間を賑わせるちゃおか!?こ、こわいちゃおー」

「だいじょうぶちゃお!代わりの言葉は、いくらでもあるちゃお。
 じゃあ、折角なのでテストするちゃお。
 第一問、木の実が木から落ちた。これを、『落ちる』を使わずに言い換えろちゃお!」
「え、え、えーっと、木の実が木から・・・落っこちた!」
「同じちゃお!」
「ええっ・・・じゃあ、木の実が木から・・・下がってきた!」
「50点」
「どこがいけないちゃおか!」
「下がってきたって、まるで等速直線運動であるかのような言い回しちゃお。
 エレベータじゃないんだから、もっと表現力を身につけないとダメちゃおね」
「じゃあ、100点満点の答えは何だって言うちゃおか?」
「正解は、木の実が木から、落下した」
「・・・それでいいちゃおか?」
「いいちゃおいいちゃお!」

「ちなみに『滑る』も、『落ちる』と同じくらい、危険な言葉ちゃお。
 第二問、冬のカニカニ池は、滑りやすい。これをいいかえると?」
「冬のカニカニ池は、滑走しやすい!!」
「はい残念ー。正解は、冬のカニカニ池は、つるつる。まだまだちゃおねー」
「むきゃー、腹が立つちゃお!そんなの難しすぎて、正解できないちゃお!!」

「しかしロッカクの場合、いつまで練習しても、無意味かも知れないちゃお」
「ど、どうしてちゃお?」
「オマエの体の色は白ちゃお!いくら言葉に気をつけていようと、その色はジュケンをする人にとって不吉ちゃお!」
「え、ええー。それはひどいちゃお!なんでちゃおか!」
「白は白紙解答を連想させるちゃお!ああ、ロッカクが無知だったために、
 今まで何人のジュケンをする人が、不吉な目に遭ってきたことか!お悔やみ申し上げるちゃお!」

「うーん、なんか納得行かないちゃお。
 カラアゲのピュア色だって、ヒーローチャオに進化すれば白になるちゃお。それじゃダメちゃおか?」
「残念ながら、チャオは今、ダークに進化しているちゃお。その話は成り立たないちゃおね」
「ダークに進化するというのはつまり、ジュケンに失敗してぐれることを連想させるちゃお」
「うそー、そんなはずはないちゃお。だってチャオは、転生すれば他の属性になれるちゃおよ。
 リベンジ精神を現す、幸せを運ぶキューピットちゃお!」
「転生するまでに5年はかかってしまうちゃお。5年、5浪・・・」
「言われてみれば、そうかもちゃおね・・・」
「ロッカクは、どうすればいいちゃおか・・・?」

「じゃ、突然だけど、第3問ちゃお!これに正解すれば、ジュケンの問題にも正解できるという意味で、
 ロッカクの体の色の件を相殺することが可能ちゃお!」
「その手があったちゃおか!」
「失敗は許されないちゃおよー」
「わかったちゃお!心して挑むちゃお!」

「さて、第3問!チャオタロウさんは、スケートで滑りました。これを言い換えると?」
「そんなの簡単ちゃお!チャオタロウさんは、スケートをしました。これで決まりちゃお!」
「せ、正解ちゃお・・・」
「フッフッフ、チャオに不可能はないちゃおね。ほな、ありがとうございましたちゃお!」


「・・・ところで本当に、メンセツってこんな感じでいいちゃおか?」
「さあ?」

この作品について
タイトル
ジュケンにポトる
作者
チャピル
初回掲載
週刊チャオ第311号