最終話「新時代」
丁度、あの日から10年が経った。
今、以前の大統領は大統領でなくなり、政府の重役は重役でなくなった。
大統領制自体無くなったのだ。
というのも家系で大統領を決めると、以前の大統領の様な者も出てくるし、
かといって選挙をするとやはり裏が出てくる。
つまり政府を消してしまったのだ。
大統領の役目は今マザーがしている。
機械も信頼され、全てを任せられる時代が来たのだ。
情報は政府に規制されることもなく、全て民に流される。
偽の情報が流れることも無くなった。
オモチャオも以前通りに配備され、マザーは以前の役目を果たし続けている。
あの日の後日、ウィリーシスはマザーを訪ね、聞いた。
「存在する目的は見つかった?」
と。
音声の雑音も直ったマザーは活き活きとした声で答えた。
『ああ。我が存在するのは感謝してくれるチャオ達がいるからだ』
α-238はというと。
アンテナも直り、仕事に励んでいる。
暇が少なくなり、ウィリーシスと話す時間が少なくなったのが心残りらしい。
ウィリーシスは10年後、プログラマーとして活躍し、新たなタイプのオモチャオのプログラムも作り出していった。
だからと言って、旧式のオモチャオを処分したりはしない。
彼等は『人間とは違う』のだから。
~完~