いつも隣に、『RAN!RAN!RAN!』
僕の名前は『ルゥ』
このお話は僕と僕の友達とのお話……
ディ「お~いルゥ!今日も一緒にかけっこしようゼ!」
ディは僕と同じ日に産まれた僕の幼なじみ。
ルゥ「う、うん!……」
そう、返事したけれど僕はあんまり乗り気じゃなかった。
リィ「位置について、ヨーイ…………ドン!」
僕とディは走り出した。
ディ「どーしたルゥ、そんなんじゃオレには勝てないゼ!」
リィ「ルゥ~、頑張って~!」
僕は走った。走って走って……でも、
ディ「やったぜ~オレの勝ちぃ!」
リィ「あ~ぁ。惜しかったね、ルゥ。」
ルゥ「うん…」
リィ「元気だして!」
結果は分かってたんだ。だから別に落ち込んでる訳じゃないんだ。
ディには、一度も勝った事がない。
なんでだろう?
なんで僕は勝てないんだろう?
やっぱり、たてがみがないからかなぁ……
前に幼稚園で読んだ絵本に『ふたりのヒーロー』っていうのがあったんだ。
その中には「シャドウ」と「ソニック」っていうふたりの友達がいて、そのふたりは地球を救ってくれたって書いてあったんだ。
シャドウとソニックにはカッコイイたてがみが、あったんだ。
ディには、シャドウみたいなカッコイイたてがみがある。
そして、僕には…ない。
きっとディは、シャドウの産まれ変わりなんだ。
だからやっぱり僕は……
ルゥ「ねぇ、ディ。どうやったら、そんなに速く走れるようになったの?」
ディ「ん?オレか?オレは……動物クン達と、練習したんだ」
ルゥ「動物クン?時々遊びに来る?」
ディ「そうっ!トラクンとイノシシクンとウサギクンとね。ずっと三人に勝てなくて、頑張って練習したんだ。そしたら、このたてがみが出てきて、その日、初めて三人に勝てたんだ。だからルゥも練習しみなよ!ルゥが強くなるまで、待ってるからさ!強くなったら、またかけっこしようゼ!」
ルゥ「わかった!ありがとう!」
その日からかけっこの練習がはじまった。
僕は、三人にたくさん教えてもらった。
腕の振り方とか足の付き方とか。
でも、たてがみは出てこなかった……
トラ「ルゥ、そろそろディとかけっこしてみなよ」
イノシシ「そうだね。ルゥは本当に頑張ったから、今度はきっと大丈夫だよ!」
ルゥ「えっ!…でも、」
ウサギ「お~い、ディ~~~~~!」
ルゥ「えっ…ちょ…」
気の早いウサギクンがディを呼んでしまった。
しょうがない。
でも、僕だって頑張ったんだ。もしかしたら……
リィ「位置について、ヨーイ…………ドン!」
やっぱり、ディは速い…
このままじゃ……
ルゥ「(…っ!なんだろう。からだが軽い。いつもより速い!………勝てる!)え~いっ!」
ディ「…んなぁっ!」
リィ「ゴール!!!ルゥの勝ちぃ!」
………僕の、勝、ち、?
ルゥ「……っっやったぁ!!」ディ「速いよルゥ!スゲェ速かった。」
ルゥ「うん!ありがとう!」ディ「うん!…あっ」
ルゥ「どうしたの?」
ディ「ルゥの頭……」
ルゥ「えっ?あっ…た、て、がみ?」
僕には、ソニックと同じたてがみが出ていた。
僕らはあれからもかけっこを続けている。
僕の隣には、いつもディがいる。
ディと一緒ならなんだって乗り越えられる。
ディ「ルゥ!勝負だ!」
ルゥ「うん!」
僕らは今日も、走り出す。