いたずら

ある日のこと。チャオの目の前に一つのおなべが置いてありました。

チャオはそれを手に取り、きゅっきゅっと手でこすってみました。すると。

ぼわん。

っと、おなべの中から小さな妖精さんが出てきました。

妖精さんは言いました。

「キミの願いを一つだけかなえてあげよう。願い事が決まったら、おなべを被ってお願いしてごらん」

チャオはとっても喜びました。おなべを抱きかかえて何をお願いしようか考えます。

しばらく考え続け、ついに願い事が決まりました。

チャオはおなべを被って言いました。

「大金持ちにしてほしいチャオっ」

妖精さんは言いました。

「じゃあおなべを取ってごらん」

チャオはおなべを取ろうとして、愕然としました。とれません。

どうやってもとれません。引っ張っても叩いても振ってもとれません。

妖精さんは言いました。

「もう一度願い事を言ってごらん」

チャオは言いました。

「…おなべを取って欲しいチャオ」

この作品について
タイトル
いたずら
作者
宏(hiro改,ヒロアキ)
初回掲載
週刊チャオ第153号