月曜の朝は金曜の夜じゃない（改）

　全く突然に、つまり俺の予期していなかったタイミングで、つまり、俺の全然望んじゃいないシチュエーションで、目覚まし時計がでかい悲鳴を上げた。
　つまり、もともとイカレまくった俺の脳味噌は、おまけに今朝は、アルコールにとっぷりと漬かっている、というわけで、ふらふら。
　それでも何とか、俺は俺の頭に言い聞かせる。
「今日は、月曜日だ。金曜日の夜じゃない。
　つまり起きなくちゃならないのだ。さあ、さっさと、目を覚ませ。」

　しかし、なぜだか分からないが、体が重くって起きられない。疲れているのだろうか、とか、歳だろうか、とかいろいろ考えてみるが、さすがにそんなことが、理由じゃあない気がしてきた。
　一体、何が起こっているのだろうと思いながら俺は、俺の体をすっぽりと包んでいた布団をばりっと剥がしてみた。
　すると、身体の上には、俺が育てている１１匹のチャオ達が、べったりとしがみついていやがったんだ。

　ちょっと待ってくれ。今日は、月曜日だ。つまりな金曜日の夜ってわけじゃないんだ。お前らも起きろよ。全く、冗談じゃない。

　いや、悪かったよ。俺だってちゃんと分かっているよ。昨日と一昨日は、とても楽しく過ごしたよね。
　でも、月曜の朝になると、仕事をしに行かなきゃならないんだよ。だから、お願いだから自由にしてくれよ。今すぐ、仕事に行かなきゃならないんだよ。

「僕たちのためになら、全てを捨てるって言ったチャオ」
なんて言いながら、チャオ達はそれぞれに、
　だっこして
　動物見せて
　フリフリして、
とせがむ。
いやもう、俺は一応真面目なビジネスマンなんだから、そんなふうに、責めないでくれよ。

　分かっているよ。ほんと昨日と一昨日は、とても楽しく過ごしたよね。ずっと、遊んでいられたらいいのにね。ほんとそう思うよ。
　でもね、時間は止まったりしてくれないんだよ。やっぱりね、月曜の朝になると、俺は仕事をしに行かなきゃならないんだ。だから、頼むから、自由にして。

　しかし、お前ら、まるで、先月別れた女にそっくりだな。

　いや、そう言う話ではなく、だからさ、今日はもう、月曜日なのよ。月曜の朝なんだよ。
　金曜の夜じゃないんだよ。土曜の昼でもないんだよ。分かってくれよ。仕事に行かなきゃ、ダメなんだよ。
　帰ってきたら、ちゃんと遊んであげるから。いやもうそれは、こっちからお願いしたいくらいなもんでね。ね、帰ったら一緒に遊ぼうね。ね、だから分かって・・・

　だから、ああ、もう神様、お願い、助けて下さい。
　助けて下さるのが、女神様なら、もっと嬉しいのですが。

　どうせなら、ビキニの女神さまなら、とっても嬉しいですし、
　ビキニを脱いだ女神様なら、それ以上のことは、もう何も望まないのですが。

　って、そう言うことを考えている場合じゃないんだ。
　だから、早く、お前ら、もう、その手を離せというのだ。

　了