『成長』
彼女は守るために存在している
守るべき時、月の光はいつでも彼女を照らしていた
そして、彼女はこう呼ばれた・・・・・
『月光のメイド』
第八話「成長」
季節は1月。冬である。
ここはチャオの森。
人に捨てられたりしてくる、チャオの国でもあった。
そのチャオの森は、チャオが作った街、平原、火山など人間にとっても広い森であった。
そのチャオの森の『チャオティックルーイン』という街の北の森の奥に、一つの大きな屋敷があった。
人間が住めるような広さの屋敷で、庭も相当広い
その屋敷には、屋敷の持ち主であり、お嬢様であるHFF型の『フィル』。
チャオでありながらメイド服をきているメイドのNNN型の『メルト』。
屋敷の住民ではないが、遊びに来るツッコミをすることが多いHSS型の『ジェイド』。
屋敷の庭の管理をしているHNN型の『ピューマ』。
屋敷の地下にある図書室で幻闘術というものを研究しているDSS型の『ジェネリクト』。
屋敷の住民ではないが、遊びに来る瓢箪を持ち、いつも酔っ払っているNPP型の『ヴァン』。
そんなチャオがいる屋敷の話である。
屋敷の二階にあるフィルの部屋に、この屋敷のお嬢様のフィルが寝ていた。
寒いのを防ぐためか、毛布にくるまっていた。
そして9時になり、フィルは起きた。
フィル「ふぁ~・・・。」
フィルは欠伸をした後、ベットから降りた。
寒く感じたがフィルはチャオのため、多少の寒さでは負けなかった。
しかし、フィルはあることに気づいた。
フィル「・・・体がだるい。」
風邪でもひいたのだろうか。フィルは体がだるかった。
普段活発に動いているフィルにしては、珍しい光景だった。
フィルはだるい体で歩き、一階にある食堂まで歩いた。
食堂の中に入ると、既にこの屋敷のメイドのメルトが、朝食の準備をしていた。
メルト「おはようございますお嬢様。」
フィル「あらおはよう・・・。」
フィルはだるくそう答え、椅子の上に座った。
テーブルの上には朝食がのっており、目玉焼きと呼ばれる食べ物だった。
フィル「今日はチャオの卵の目玉焼きかしら?嫌よ共食いは。」
メルト「そんなわけありません。鶏からです。」
フィル「それを聞いて安心したわ。」
メルト「ところでチャオの卵の目玉焼きってどんな感じなんでしょうか・・・。」
フィル「知りたくもないし、知ってどうするつもりよ。」
漫才のような会話をした後、朝食を食べる。
食べ終えたら、フィルは自分の部屋に戻った。
メルトは今頃掃除をしているころだろう。
フィル「あぁ・・・今日はなんでこんなに体がだるいのかしら。」
その時、目の前がピンク色に染まった・・・。
今日も俺はこの屋敷にきてしまった。
ジェイドはそう思った。
ほぼ毎日来ているのだが、何故かそう思ってしまうことがある。
来たいのか来たくないのか・・・。
ただ、楽しいからという理由で来ているんだろうな・・・。
メルトさんによると、フィルは自分の部屋にいるらしいので、俺は二階にあるフィルの部屋に行った。
ジェイド「フィルいるか~?」
そう言いながらドアをノックしたが、フィルの返事がなかった。
ジェイド「・・・いないのか?」
そう思って、少し部屋の中の様子をドアを開けて調べてみた。
鍵はかかっていない。
部屋の中は、ぬいぐるみや鏡、机椅子などさまざまな物があった。
そしてベットの上をジェイドが見た。
!?
ジェイドのポヨが!になった。
部屋のベットの上に驚くべき光景があったのだ。
ジェイド「これは・・・ピンクの繭・・・まさか!?」
俺は・・・フィルの転生するところを見てしまったのだ。
ジェイド「メルトさん!!メルトさん!!」
そう叫ぶと、メルトさんが駆けつけてきた。
凄い聴力だな・・・・・。
そう思いつつも、メルトさんがきてこの光景を見て、少し驚いていた。
相変わらずポヨが変動することがないのは何故だろうか・・・。
メルト「お嬢様・・・ついに転生なのですか・・・。」
ジェイド「転生か・・・俺も二回あったな。」
そう思っているうちに、フィルの姿が見えてきた。
フィルは・・・飛行タイプ寄りの小さなチャオになっていた。
フィル「・・・どうしたのかしら。」
ジェイド「フィル。」
フィルは俺に気づいてこっちを見た。
フィル「なに人の部屋に入ってきてるのよ変態。」
ジェイド「いや、それどころじゃないだろ。」
フィル「?」
フィルはまだ気づいていないようだった。
メルト「お嬢様おめでとうございます。」
フィル「どうしたのよメルト?」
メルト「お嬢様。鏡を見てください。」
フィルのポヨが?になった。
言われるがままに、フィルは鏡を見ると、今度はポヨが!になった。
フィル「・・・そう。ついに転生したのね。」
ジェイド「そういうことだ。おめでとうフィル。」
フィル「・・・あんたに言われてもうれしくないわよ。」
どういう意味だそれ。
そして、フィルは少し飛ぶ練習をしていた。
前よりも断然素早く飛ぶことは出来なくなっていたようだ。
フィル「まぁ、あたりまえよね。転生すると能力が下がるし。」
ジェイド「それでも飛べるのは凄いな。」
フィル「私の飛行能力をなめると怖いわよ。」
確かにフィルの飛行能力は誰にも負けないくらい凄いものである。
いつの間にか後ろに回りこまれている時はいつも驚いてしまう。
フィル「メルト。」
メルト「はい。」
フィル「今日から料理の後に紫色のカオスドライブを持ってきなさい。」
カオスドライブ・・・それはチャオの能力をあげる薬みたいなものである。
チャオはこうやって、自分の身体能力をあげることが出来る。
ちなみに紫色はflyの能力をあげることができる。
メルト「かしこまりました。」
こうして、フィルは転生したのだった。
今晩は宴会になった。
メルトさんが企画した、フィルのお祝いなのだろう。
屋敷の一階にある、和式となっている場所でそれは開かれた。
この屋敷は一見洋式見える屋敷だが、和式と洋式が混ざっている屋敷になっているという、おかしな構造であった。
外西洋風といった感じである屋敷である。
そこから、障子を開くと庭を見渡すことができるが、今は冬で雪も降っているため、閉ざされている。
ヴァン「いやー!フィルおめでとー!」
そういったのは、いつも酔っているヴァンである。
感じとしては、男にも女にもなる人である。チャオには性別がないのでおかしくはないが・・・。
ここには、屋敷の住人であるフィル、メルト、庭師のピューマ、幻闘術(幻闘術とは火、氷、雷、風、光、闇の6つの自然現象を利用した戦闘術。取得するには数々の訓練が必要である。)発明家のジェネリクトと、屋敷の住人ではない二人俺(ジェイド)とヴァンがいた。
ピューマ「転生とか久しぶりに聞きましたー。」
フィル「私も久しぶりね・・・これで二回目かしら。」
ジェイド「あぁ、俺の方が年上なのか・・・。
フィル「私のほうが偉いけれどもね。」
どこからくる理論なんだそれは。
メルト「お嬢様本当におめでとうございます。」
ジェネリクト「本当におめでとうお嬢様。君ももう転生二回目なんだね。」
ヴァン「私たちはもう転生とかできないからねぇ・・・どんな感覚だったけ。」
聞いた話によると、メルトさんとジェネリクトさんとヴァンは、転生防止薬を利用しているため、転生はもうできないらしい。
転生防止薬とは、転生を防止することができる薬である。
メリットは、どんなダメージを受けても転生することはないので、ぎりぎりまで戦える。転生しないため、経験を積んでいく事ができるなどがある。
デメリットは、転生しないため殺されると死と同然の扱いとされる。
戦わぬものは使わないほうがよいとされている薬である。
つまり、戦わない俺たちにとっては無縁のものなんだろう。
一度間違えると、死ぬ可能性が広がりかねないからだ。
フィル「・・・まぁ、転生しなかったのもあんた達のおかげよ。ありがとう。」
フィルはそう小声で言った。
ジェイド「なんか言ったか?」
フィル「何も言ってないわよ、変態。」
ジェイド「・・・もう俺は変態扱いなのか。」
まぁ今回はめでたい事なので、俺は我慢することにした。
チャオも成長をする・・・・・これからどうなっていくのだろうか。
不安であり、楽しみでもあった。
第八話「成長」 終わり