「大好きでした。」

僕は、チャオ。

お母さんが、大好きでした。

ずっとずっと大好きでした。

毎日毎日おいしーい実を作ってくれて、

いっつもいい匂いのお母さん。

いつも、僕がようちえんから帰ってきたら、

優しく抱きしめてくれました。

とっても、あたたかいんだよ。

優しかったんだよ。

僕はようちえんで他のちゃおにいじめられてたんだ――。

そしたら、おかあさんは、すぐ飛んできてくれた。

嬉しかった。そして、おかあさんは、強かった。

とっても、だいすきです!

おとうさん。

僕のおとうさん。

いっつもおしごとがあって、会えないけど、

ようちえんがお休みなときは、いっつも

側にいてくれた――。

一緒にお風呂にはいるんだよ。

おとうさんは、ちょっと乱暴な手つきだったけど、

とっても気持ちよかった。

いっつも、あたま【きれいきれい】だった。

おとうさんは、おりょうりも作ってくれる。

アツアツの木の実ちゃーはん。

とっても熱いけど、とっても、美味しい。

僕の大好物。


でも、おかあさんも、おとうさんもどこかにいっちゃった。

なんだか、家には変なちゃおが沢山来てた。

ぼくの側にはおばあちゃんがいた――。

おばあちゃんは泣いてた。

「ねえ、どおしておばあちゃんはないてんのー?」

「いや、  なんでもないんだよ――。」

「おかあさんと、おとうさんは、どこいっちゃったの?」

ぼくはそう聞いたよ。

「おかあさんとおとうさんはね、あの箱の中で寝てるの。」

「ふ~ん。 じゃあ、また、会えるよね!」

「きっと、会えるよね!」

「それは― 無理なんだよ―――。」

「どうして?」

そこまで言って、おばあちゃんはまた泣いちゃった。

僕には、全然、いみがわかりませんでした。

この作品について
タイトル
「大好きでした。」
作者
竹(N_U2,サイコ)
初回掲載
週刊チャオ第41号