「CHAOS PREVIEW」 part43

00 CHAOS WORLD CHAOS PREVIEW
Scene6

オルガの指差す先では白い髪の少年が青年と話していた。
白い髪の少年はジュースを飲んでいる。
「白い髪なんてただ事じゃないって」
「お前が言うか」
むしろ彼女の髪の方がよっぽどおかしい。
「でも怪しい。見つからないように見張ろう」
「ふむ」
二人で壁によって彼らの死角に入るようにする。
あの少年と同じくオルガの独特の髪は目立つし印象に残るだろう。
そのため様子を見るのは俺の役目となり、オルガは隠れることに専念することとなった。
「ん?」
青年がどっかに行って、少年が一人になっていた。
少年は公園で遊んでいるチャオをまじまじと見つめている。
チャオ。
思えばこの公園にはチャオがたくさんいる。
そして人間はそれらから逃げようともせず一緒に遊んでいる。
「ここではチャオを普通に飼えるんだな」
「うん。やっぱ世界間違えちゃったみたい」
「チャオスのいない世界……か」
あるいは出現する前までは俺のいる世界もこうだったのだろうか。
その時、子供に抱っこされていたチャオがその顔へ爪を振るった。
子供が驚いて悲鳴をあげながらチャオを放り投げる。
「!!」
今のは、なんだ?
「おい、チャオが子供を攻撃した」
「え?」
「もしかしたら、チャオスがいるのかもしれない。知られていないだけで」
そして俺は再び驚くことになった。
白い髪がチャオ目掛けて走っていた。
手には赤いカオスドライブ。
そのカオスドライブが光った。
少年が光に包まれる。
その光から白いダークカオスチャオが飛び出した。
剣の形をした赤い半透明のなにかを持っている。
「おい、あの白いやつがカオスドライブでチャオになった」
「なんだって?」
オルガが身を隠していた壁から顔を出して状況を確認する。
既にチャオの大群と白いダークカオスチャオの戦いが始まっていた。
「どういう経過でこうなったのか詳しく教えて」
俺は起きたことをありのままに語った。
数秒の出来事であったが、できるだけ詳しく話した。
赤いカオスドライブ。
光。
「あれはチャオスなのか?」
オルガはその問いに対して首を横に振った。
「知ってる。思い出した。この世界は読んだことがある」
「なに?」
「この世界の凶暴化したチャオは私たちの世界のチャオスと似ている。私たちの世界に『近い』の。私たちが行こうとした世界とも。だから、移動に失敗してズレが生じた結果ここに辿り着いた」
「どういうことだ?わかりやすく言ってくれ」
「最初に、これは予告編だって言ったよね?」
確かにそんなことを言っていた。
夢のように思っていいと言っていたからそこまで気にしていなかったが。
「予告編ってことは本編がある。その本編を作品Aとする。私たちは、作品Aの予告編1にいて作品Aの予告編2へ移動しようとした。けれどそれに失敗した。本来ならこういう時作品Aの予告編3へ移動するはずなの。けれども、作品Aに似ている世界作品Bが存在した」
先ほどの青年が戻ってきた。
青年も先ほどの白髪の少年のようにチャオになった。
それを見つめながらオルガは言った。
「ここはその作品Bなのよ」
「国内旅行をしようと飛行機に乗ったら外国でした、って感じか」
「うん」
「で、どうすれば元々行こうとしていた場所へ行ける?」
「この世界を終わらせればまた移動ができる。いや、そこまでしなくていいか」
今度は彼女の目が俺を見る。
「この世界の物語を終わらせれば、その時に移動ができるはず」

続く。

このページについて
掲載日
2009年12月17日
ページ番号
43 / 75
この作品について
タイトル
CHAOS PLOT
作者
スマッシュ
初回掲載
2009年11月3日
最終掲載
2010年7月17日
連載期間
約8ヵ月14日