「CHAOS PREVIEW」 part23

00 CHAOS WORLD CHAOS PREVIEW
Scene1

なにかがおかしい、と思って上を見た。
上を見たらなにかがおかしいことがはっきりとわかった。
これがUFOくらいの理解できないなりに理解が可能な変異ならよかったのだが。
空には黒く太い文字が浮かんでいた。
浮かんでいる?
よくわからない。
文字からは奥行きが感じられない。
まるで空を撮った写真に黒マジックで文字を書いたような。
とにかく空には黒い文字があった。
「文章は開発中のものです」
なんのこっちゃ。
文章とはなんだ?
開発中とは?
そしてここはどこだ。
辺りを見回す。
なにもない。
見えるのは奇妙な文字のある空と地平線と地面。
それ以外はない。
まじでどこだよここ。
「やっほ」
背後から声。
先ほどまで人はいなかったはずだ。
それゆえに驚いて瞬間的に振り向く。
誰もいない。
念のため左右前後、四方八方とさらに視線を上にも下にも駆け巡らせる。
だが誰もいない。
「こっちこっち」
また背後から声。
振り向く。
いない。
全方位を確認。
いない。
「どこだ!?誰だ!?」
「面白いなあ」
声をした方を向いていないので全方位を確認してそれでもいない。
障害物などはないから見逃すなんてことありえないのに。
どういうことだ。
「ごめんごめん、ちょっと面白くて」
期待せずに振り向くとそこには少女がいた。
紫色の髪がやけに目立つ。
染めない限り紫色の髪にはならないはずだが、根元まで紫で黒い部分がない。
地毛で紫色としか思えない。
しかしそんなことはありえないわけで。
「誰、君」
「私はオルガ」
どうやら日本人ではないらしい。
肌の色からしてモンゴロイドではあるのだが。
「色々と聞きたいことはあるが、ここはどこなんだ?」
「ここは予告編」
「すまん。わかりやすく言ってくれ」
「夢みたいな感じかなあ」
すぐさま頬をつねる。
こうすれば夢には対処できる。
痛い。
しかし夢であっても痛みを感じることだってあるはずだ。
もっと痛くして起きるぞ。
こんな馬鹿みたいな夢など見ていられるか。
なんで髪が紫色の少女なんかが出てくる。
俺はなんだ。
欲求不満なのか?
「夢みたいな感じって言ったでしょ。夢じゃないから覚めないよ」
「なん……だと……」
夢みたいだが夢ではない。
それはどういう意味なのか。
ここはどこなのか。
「ここは予告編だって言ってるじゃん。ここで起きたことは元の世界になにも影響しないんだよ」
「現実に影響がない……確かに夢みたいだ。では夢とはなにが違う?」
「個人の世界ではないってこと」
「個人の世界ではない?」
全く理解できん。
「夢っていうのは自分の脳内での出来事だから、自分一人だけのものなの。だけどここは違う。自分ではない他者も関わってくるの」
「よく理解できんな」
漠然とはわかった気がするが。
「んー。夢の世界はその世界を観測する人が一人だけなのはわかる?」
「ああ。夢を見ている自分自身しかその夢は見られないということだな」
「そんな感じ。でもこの世界はそうじゃない。基本的に夢と同じなんだけれども、たくさんの人が観測しているの。だから、予告編」
「理解はできたが、なんか釈然としないな」
「そこまで気にするものじゃないから別にいいんじゃない?」

続く、がpart24が続きとは限らない

このページについて
掲載日
2009年11月24日
ページ番号
23 / 75
この作品について
タイトル
CHAOS PLOT
作者
スマッシュ
初回掲載
2009年11月3日
最終掲載
2010年7月17日
連載期間
約8ヵ月14日