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人里離れた山の中に、チャオたちの暮らす森があります。
夜になると、星がとってもきれいに見えるすてきな森です。
きょうは七夕です。
チャオの森でも、むかしお世話になったご主人さまから教えてもらったすてきなお祭りの準備をしています。
願いをかいた短冊をつける笹は、この日のために、みんなでさがしてえらんでおきました。
気の早いチャオは、もう短冊をつけています。
でも、ほとんどのチャオは、今から願いを考えるようです。
森のあちこちで、チャオたちが葉っぱの短冊に思い思いの願いを絵にしています。
みんなは、どんな願いをかいているのでしょう?
ちょっと、ようすを見てみましょう。
あら、このチャオは、葉っぱの短冊いっぱいの大きな木の実をかいています。
こんなに大きな木の実を食べたいなんて、くいしんぼうなチャオですね。
でも、だれでも一度はこんなことを考えますよね。
こちらのチャオは、葉っぱの短冊とにらめっこしています。
何をかこうかな?
どれにしようかな?
願いを決めきれなくて迷っているようですね。
そのとなりでは、いくつもの葉っぱの短冊に、いろんな願いをかいているチャオがいます。
よくこんなに願うことがあると思ってしまうほど、たくさんの願いです。
でも、こんなにいっぱいかいたら、お星さまはどれをかなえたらいいのか分からなくなってしまいますよ。
すこしはなれたところでは、ふたりのチャオが寄り添うようにして、願いをかいています。
葉っぱの短冊には、お互いの顔がかかれています。
いちばんたいせつで、いちばんだいすきなともだちの顔です。
葉っぱの短冊を見せあって、ちょっぴり照れたように顔を赤くしています。
ふふふ、もう願いはかなっているみたいですね。
こちらでは、ダークチャオがハナ歌まじりに、葉っぱの短冊に願いをかいています。
さいしょは、ふつうにかいていましたが、だんだんと調子にのってきて、葉っぱの短冊から絵がはみ出してしまいました。
でも、ダークチャオは、ぜんぜん気にしません。
絵を完成させるのに一生懸命です。
もう、願いをかいているのか、ただのラクガキか分からなくなってきました。
でも、これはこれで楽しそうですね。
むこうでは、ヒーローチャオが真剣な表情で願いをかいています。
これは、だれかの顔でしょうか?
分かりました。
きっと、むかしお世話になったご主人さまの顔です。
お別れしてから、一度も会ったことのないご主人さまの幸せを祈っているのでしょうか?
それとも、もう一度ご主人さまに会いたいとお願いしているのでしょうか?
ヒーローチャオは、ご主人さまのことを思って葉っぱの短冊に願いをかいています。
だんだんと日が暮れてきて、一番星が輝きだすころには、ほとんどのチャオたちが願いを込めた葉っぱの短冊を笹につけ終わりました。
長い間、何をお願いするか悩んでいたチャオも、あわてて笹のところにやってきました。
葉っぱの短冊いっぱいに、この森のチャオたちの笑顔がかかれています。
みんなの幸せを祈っているのですね。
なんてすてきなお願いなんでしょう。
ラクガキに一生懸命だったダークチャオも、あたりが暗くなってきたので、ちょっとあわてています。
大急ぎでラクガキを仕上げると、葉っぱの短冊を持って走り出しました。
でも、すぐに立ち止まってしまいました。
どうしたのかしら?
ダークチャオは、葉っぱの短冊と地面にかかれたラクガキを見くらべています。
そのうちに、地面のラクガキのまわりをポコポコと叩きだしました。
どうにかして、地面のラクガキを動かせないかと考えているようです。
でも、さすがにこれは無理でしょうね。
ダークチャオもあきらめたみたいです。
葉っぱの短冊をラクガキの元の位置に戻すと、どこかへ走っていきました。
しばらくすると、ダークチャオがもどってきました。
手には、長いひもをもっています。
そのひもの一方を葉っぱの短冊に結びつけると、もう一方を笹に結びました。
あら?
これは、地面にかいた大きな短冊になりました。
ただのラクガキにしか見えませんでしたけど、とってもたいせつな願いをかいていたんですね。
ダークチャオは、できあがった短冊を見て、とても満足そうな顔をしています。
しばらくすると、あたりはすっかり暗くなって、空いっぱいに星が輝きだしました。
天の川が、とってもきれいに流れています。
きっと、織姫さまと彦星さまが、すてきな再会をしていることでしょう。
きょうは、ちょっぴり夜更かしをしているチャオたちが、そんなすてきな星空を見上げています。
思い思いの願いを、お星さまに祈っているチャオたちがいます。
織姫さまと彦星さまの再会を思っているチャオたちがいます。