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チャオたちが、クリスマスツリーをボーゼンと見つめています。
お日さまの光をあびていたときは、あんなにきれいにかがやいていたクリスマスツリーが、いまでは、すっかり暗くなってしまっています。

むかし、ご主人さまといっしょに見たクリスマスツリーは、夜でもすてきにかがやいていました。
夜空の星よりも、きれいにきらめくクリスマスツリーは、多くのチャオたちの思い出のなかにありました。

みんなは、このクリスマスツリーも、そんな風にきれいにかがやいてくれると思っていました。
でも、そうはなりませんでした。

お月さまの光では、クリスマスツリーをかがやかせることはできませんでした。
かがやかないクリスマスツリーのむこうに見える、夜空の星のきらめきが、チャオたちをよけいに悲しくさせてしまいました。

チャオたちは、もう歌う元気もなくなってしまいました。
ただ、しょんぼりと暗いクリスマスツリーを見上げているだけです。

そんなとき、どこからか、鈴の音が聞こえてきました。
いまのチャオの森には似合わないくらい、とっても明るくてきれいな音色です。

チャオたちは、鈴の音のするほうを見ました。
そこには、いつものようにやさしい顔をしたティカルがいました。

ティカルは、悲しそうな顔をしているチャオたちに、やさしく声をかけながら、クリスマスツリーのまえにやってきました。
そして、クリスマスツリーのまえにくると、両手を合わせて祈りはじめました。

しばらくして、両手を大きくひろげたとき、チャオたちのクリスマスツリーがうつくしくかがやきだしたのです。

いいえ、クリスマスツリーだけではありません、森中の木がかがやいています。
夜空の星のようにひかえめに、でも、とてもすてきにかがやいています。

そして、チャオたちのクリスマスツリーは、森の木のかがやきよりもちから強く、夜空の星のきらめきよりもうつくしくかがやいています。
それは、チャオたちがいままでに見たどんなクリスマスツリーよりも、すてきなものでした。

きよしこのよる

またチャオたちの歌が聞こえてきました。
こんどは、ちょっとしずかに、でも、よろこびにあふれた歌声です。

チャオたちの歌にあわせるように雪が舞い降りてきました。
雪もチャオの森のクリスマスを祝福してくれているみたいです。

ほしはひかり

やさしい光が、チャオの森をつつみこんでいます。

お月さまのやさしい光。
お星さまのひかえめな光。
そして、ティカルのプレゼントしてくれたクリスマスツリーのすてきな光。

みんなチャオたちを見守ってくれています。

やさしさにつつみこまれたチャオの森のクリスマスイブの夜は、しずかにふけていきました。

メリークリスマス。



おわり

このページについて
掲載号
週刊チャオ第42号
ページ番号
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この作品について
タイトル
チャオの森のクリスマス
作者
懐仲時計
初回掲載
週刊チャオ第42号