チャオの星

宇宙のかなたを、宇宙船は飛んでいた。
その中に乗った地球人たちは、退屈そうに外を眺めていた。

不意に、事件は起こった。
そう、近くも遠くもないところに、ひとつの星が見えたのだ。
今までたくさんの星を見てきた宇宙飛行士たちだったが、その星は、これまで見てきた中で、あるひとつの星と似ていた。
地球である。
その母なる星に、その星はそっくりだったのだ。

地球に帰った飛行士たちは、早速その星のことを紹介した。
すぐさま、その星を調査しに行くことが決定した。
地球と似ているだけあって、人類以外の知的生命体が存在するかもと、期待に胸を膨らませてのことだった。

到着してみると、その星がいかに地球とよく似ているかがわかった。
木もあり、山もあり、海の量は少なかったが、そのほかは地球とほぼ同じ条件だった。
地球よりいくらか小さく、大気は薄かったが、なかなか暮らしやすいようだった。

さらに調査を進めていくと、ある生物と出会うことに成功した。
その生物は、二足歩行しており、全体的に丸っこい感じで、羽があり、頭は水滴のような形をしている。
なんともかわいらしい生物である。
変わっているのが頭上の球体で、気分に応じて、形を変えることがわかった。
研究者たちはその生物を、【チャオ】と名づけ、地球の住民たちに紹介した。

その愛くるしさに、地球の住民は心引かれ、地球は空前のチャオブームになった。
チャオブームにつられ、例の星には、人間が多く訪れるようになった。
そして、その星とチャオについての研究も進んでいった。

チャオの主食は木の実だとわかった。
人間はもともとあった木の実を使い、品種改良に努めた。
チャオに小動物を与えると、アビリティに応じてレベルアップ時にスキルがあがることがわかった。
人間はもともとその星にいた小動物を与え、チャオのスキルの変化を研究した。
チャオに、さまざまな色が存在することが判明した。
チャオを何匹も実験に使い、色の優劣を見出そうとした。

やがて人間たちは、その星に住むことを考えた。
それは即急に実行され、その星にはいくつもの建物が作られた。
それは研究用であり、食料保存用であった。

木の実の品種改良のため、いくつもの木の実が取られ、木は枯れていった。
チャオたちは何もしなかった。
小動物も、大量にキャプチャされたため、その数を次第に少なくしていった。
チャオたちは何もしなかった。
実験に使われたチャオは、ほとんどが死んでいった。
チャオたちは何もしなかった。

その星に人間がやってきて、建物を作り、装置を作り、
その星にもともとあったものは失われ始めた。
チャオも例外ではなかった。

地球の人間が、その星の環境を変えてしまった。
それに対応できないチャオは、滅びるしかなかった。

チャオが次第に姿を消していくことに、人間たちは気づかなかった。
そして何より、チャオたちも気づいていなかった。
人間たちは目先の事ばかりに気をとられ、大切なものを失ってしまった。
チャオが姿を見せることは、もう、なかったのだ。

この作品について
タイトル
チャオの星
作者
チャピル
初回掲載
週刊チャオ第138号