チャオ道列伝ダークチャコルル降臨

ここは、とあるチャオガーデン。
お散歩マシーンがごとごと動きます。
中から、ヒーローカオスのチャコルルが帰ってきました。

「!…、こ、これは?」
チャコルルは驚きました。
ガーデンのお友達みんなが泣いているのです。
チャコルルを見ると、一人のチャオが逃げ出しました。
一人は、顔を突き出して、チャコルルにツバを吹きかけます。
チャコルルと目を合わせないようにうつむいて、震えているチャオもいます。

「みんな、どうしたんちゃお?」
チャコルルが聞いても、答えてくれません。
その時、ガーデンの入り口の方から声がしました。
「ふふふ、分かりきったコトちゃお。」
「誰?」
チャコルルは、振り向きました。そして、驚きました。
それは、自分でした。
ヒーローカオスのチャコルルは、おててとおつむが赤みがかってますが、そのチャオは、赤ではなく、黒でした。
そして、チャコルルは鷹を連れていましたが、黒チャコルルは、狼を連れていました。

「あ、あなたは、…?」
驚きを隠せないチャコルル。黒チャコは、狼に飛び乗ると、そのまま突進しました。
チャコルルに体当たりをぶちかまし、黒チャコはチャコルルを持ち上げるように上昇します。
そして、どこからか布を取り出し、チャコルルをはたきこみます。
チャコルルは地面に激突。気を失いました。

「チャオガーデンの痛みを知りなさいちゃお。」
そう言って黒チャコは立ち去りました。


しばらくして、チャコルルは目を覚ましました。
「あ、気がついたちゃお。」
「良かったちゃお。」
ガーデンのお友達みんなが、心配して取り囲んでいました。
「さっきは、ごめんちゃお。でも、あいつは一体誰ちゃお?」
みんな、それが気になっていました。

「あれは、私ちゃお。」
「ちゃお?」
悲しげに答えるチャコルル。でも、みんなには良く分かりませんでした。

「私は、お散歩でいろんな所を見て来ましたちゃお。
 私たちチャオは、綺麗な大自然と、人々のやさしい愛情がなければ、生きていけませんちゃお。」
「うん、うん。」
みんなうなずきます。

「でも、自然は汚されていますちゃお。人々も、やさしい心を忘れてしまったみたいちゃお。
 だから、その憤りから生まれたのが、あいつちゃお。」

聞いていたチャオ達は、何も言えません。
自分達を取り巻く環境。そゆものについて、考えたことはありませんでした。
でも、チャコルルはそゆことをちゃんと考えていたのです。
「毎日遊んでばっかりで、そんなコト考えたこと無かったちゃお。将来が心配になってきたちゃお。」

チャコルルは、にっこりほほえみます。
「いいのよ、そんなに難しく考えなくて。楽しく遊んで暮らすのが、私たちチャオの幸せなのだから。」
「本当ちゃおか?」
「じゃあ、みんなで仲良く遊ぶちゃお。」

チャオ達は、遊びはじめます。
チャコルルは、そっとガーデンの入り口から出て行きます。

そう長くはないチャオの一生。
それをどう楽しむか。それがチャオの生きる道。
しかし、無限の命のチャコルルには、それ以外の道も、あったのです。


ガーデンを出ると、チャオロビーに来ます。
そこには、黒チャコが待っていました。
「遅かったちゃおね。」
黒チャコは、ちょっちいらだってます。
「お前を倒したら、みんなにチャオガーデンの痛みを教えてくるちゃお。」

チャコルルは、首を振ります。
「駄目です。争いからは、何も生まれませんちゃお。」

「お前も見てきたんちゃお。人は、どれだけ自然を汚すのかを。そして、人は、争いが好きだということを!」
「いいえ。それは、人の一面だけしか見ていません。争い続けるのが人ではありませんちゃお。」

「もう、言い争うのも、無駄みたいちゃおね。」

こうして、チャコルルと黒チャコルルの一戦が始まりました。



ここは、とあるチャオガーデン。
チャオ達が仲良く遊んでます。
チャオガーデンの入り口から、一人のヒーローカオスが入ってきました。
「みんなの笑顔。いつまでも見ていたいちゃお。」


おしまい。

この作品について
タイトル
思いつき企画完結(第四話) チャオ道列伝ダークチャコルル降臨
作者
あさぼらけ
初回掲載
週刊チャオ第101号