ある夏の寒い日

僕の名前はチャール。
この場所の名前はチャオガーデン。
どんなものにも名前はあると思ってた。
それは、彼に会うまでの事だった・・・。

彼はある日突然チャオガーデンに現れた。
その日はもう夏なのに寒かった。
彼は見たこともないチャオだった。
体は透き通ってて向こう側が見えるし、
ここまで美しい白のチャオはいまだ見たことはなかった。

―一緒に遊ぼうよ。

僕がそう言うと、彼は何も言わずに一緒に遊びだした。

―楽しかった。

僕は今まで生きてきたなかで一番楽しかった。
あっという間に時間は経った。
暗くなると、いつの間にか彼はいなくなっていた。
どこへ行ったのか、と僕は考えていた。
だけど急に眠くなり、僕は深い眠りに入った。

次の日も彼はいた。
消えそうな、純白の体で僕を待っていた。
その次の日も、そのまた次の日も・・・。

だけど別れは突然やって来た。

その日もまだ夏のはずなのに寒かった。

いつもの場所に行ってみると、やっぱり彼がいた。

僕が一緒に遊ぼうとした時、彼がはじめて口を開いた。

―サヨウナラ。

それが最初で最期の彼の言葉だった。

そういうと彼の体はだんだん薄くなってゆき、

そして消えた。

気づくと雪が降っていた。

なんとも言えぬ淡い雪―。

まるで彼の様。

僕は泣いた。

涙が枯れ切るまで。

まだ夏だと思っていたら、もう冬はそこまで来ていた。

楽しさが悲しさに変わる様に。

生者が死者に変わる様に。

そして、出会いが別れに変わる様に・・・。



~終~

この作品について
タイトル
ある夏の寒い日
作者
ドロッパ(丸銀)
初回掲載
週刊チャオ第36号