嵐を呼ぶチャオ。

ここはダサい玉県はるびべ市。
世界一有名な五歳児の住む町です。
十年住み続け、最近市民権を得たそうです。で、まだ五歳なのね。

「シロ~、散歩につれってってやるぞ~。」
五歳児の唐突な台詞で、物語が始まりました。
五歳児は愛犬のシロをお散歩に連れてこうとします。本当はお散歩など面倒くさいのですが、お散歩以外な目的があるわけです。
「シロ~、シロ~。」
五歳児は玄関を飛び出ると、犬小屋のある庭へと駆けていきます

「シロ~、シロ~、シロ?」
玄関を出、家の角を曲がり、庭に駆け込んだ五歳児は、そこにいるべき愛犬のシロの代わりに、変な生命体を見つけます。


なんか、水滴に体を付け、手と足を生やした様な姿をしています。

「こら~、シロ~!」
五歳児は、その生命体の頭を殴ります。
「駄目じゃないか~、オラになんの恨みがあって、二足歩行なんてするんだ!わっ!」

頭を殴られたシロは、頭の上に渦巻きを浮かべます。
五歳児がびっくらこいてると、渦巻きは球体になります。

つんつん。
つんつくつん。

恐る恐るその球体を突っつく五歳児。
「えへぇ~。」
五歳児は、五歳児らしからぬ笑みを浮かべます。
「シロの頭の上は、すっべすべ~。」
どうらや、その球体の肌触りが気に入ったようです。
シロは、いやがってます。
その証拠に、球体はまた渦巻きになります。
「うふ~ん。」
五歳児は今度は、渦巻きをなぞります。
すべすべな感触。
心の底から快感が湧き上がって来ます。
渦巻きを上からなぞり下までくると、そのまま五歳児の手は、シロの頭をなでなでします。

ポン!
「わっ?」

今度は突然、ハートマークになります。
「シ、シロ?」
五歳児は思わず後ずさり。

「そんな、シロ、お前、…、オラに告白してるのか?」
シロはハートマークを頭の上に浮かべたまま、体を揺らしはじめます。
「シロ、お前、男だろ?オラ、そんな趣味はないぞ。」
すっかり怯える五歳児。
「こら~、五歳児~!」
部屋の中から、五歳児の母の声がします。
母は庭に面した部屋のガラス戸を開けます。
「さっさとシロをお散歩に連れて行きなさい!!」
お庭で遊んでる五歳児を叱る母。
「だってかあちゃん…。」
「だってじゃありませ~ん!」
口答えする五歳児を叱る母。
やはり子供のしつけは、厳しくあるべきです。わんぱくでもいい。たくましく育ってほしい。
「だってかあちゃん、シロがおかしくなっちゃた。」
五歳児は、変な生命体へと変態したシロを指差します。
「シロがどうしたって?」
母は、シロに目を向けます。
「ク~ン?」
そこには、白い子犬が一匹。
「どこが変なのよ?」
母は、五歳児に聞いて見ます。
「あ、あれ?」
五歳児も、白い子犬の姿を見て、不思議がります。
「そ、そうか、オラ疲れてるんだ。疲れてるから、幻覚を見たんだ。」
五歳児は縁側から部屋の中に上がりこみます。
「こ、こら五歳児。シロのお散歩はどうするのよ?」
「ご免かあちゃん。オラちょっとお寝んねする。ぐーぐー。」
部屋に入るや、眠りだす五歳児。
「こら、寝るなぁ!もう、しょうがないなぁ。」

母は五歳児に掛け布団をかけてやると、シロに話しかけます。
「しょうがない、私がお散歩連れてくか。」
「わん!」



おしまい。
う~む、これはナニがしたくて書いたんだろか?

この作品について
タイトル
嵐を呼ぶチャオ。
作者
あさぼらけ
初回掲載
週刊チャオ第125号