悪夢。
そこはチャオガーデン。いつも晴れ渡る空と広大な自然に包まれている・・・はずだった。
いま、あるチャオが大人への進化を終えたようだ。
そのチャオの名は・・・チャイニー。
彼が子供の時にある占い師が名づけたらしいが、本人は覚えていない。
繭から出てくると共に彼は眩しそうに変わらずそこにある太陽を見・・・
チャイニー「!?」
そう。そこは彼が知っているチャオガーデンでは無かった。
彼はあたりを見まわした。
辺り一面は、砂漠・・・と言い表すのは果たして正しいのか・・・
チャイニー「これは・・・一体なんだ?一見砂のようだが・・・」
そう、それは砂とは明らかに違っていた。
チャイニー「まるで鉄の様だが・・・・・・軽い。」
チャイニー「しかし、こんな事に気を配ってはいられないな・・・」
そう。なにせ食料も水も全く無いのである。このままでは・・・
チャイニー「誰か、いないのか?」
その言葉が空しく木霊した。そう、辺りは地平線が360度続いている程開けていた。しかし、叫ばずには居られなかった。
彼はしばらく叫びつづけた。己の中の不安や恐怖を振り払うかのように・・・
その内に彼は眠り込んでしまった。
・・・彼は、夢を見ていた。のどかなチャオガーデンでの生活の夢を・・・
チャイニー「はっ・・・これは夢ではなかったのか・・・」
あの頃の生活を思い出すと自然に涙が出てきた。
チャイニー「泣いてばかりはいられない!生き延びるために!」
彼は歩き出した・・・宛ての無い旅が始まった・・・
数日の時が過ぎ・・・
彼の体力は限界に達していた。
もう彼に残されたものは絶望。そして過去の生活への未練。悲しみ・・・
そんなものばかりになっていた。
その日もまた。気付けば深い眠りについていた・・・
???「チャイニー、起きて!ねえってば!」
チャイニー「・・・・・・ここは・・・・・・?」
???「何寝ぼけてるのよ、ここはチャオガーデンに決まってるわ。」
やや頭がさえてきた・・・
チャイニー「ああ、君はチャムじゃないか。・・・・・・!?」
彼は慌てて辺りを見まわした。そう。そこは・・・
チャイニー「チャオガーデン!?」
そう。晴れ渡る空と広大な自然に包まれたチャオガーデンだった。
チャイニー(夢か・・・?にしては不自然な程細かく覚えているが・・・)
実際の所、彼にとってそんな事はどうでも良かった。
チャイニー(戻って来れた・・・・・・)
涙があふれてきた。
チャム「ど、どうしたの?調子でも悪い?」
チャイニー「なんでも・・・無いさ・・・」
チャム「貴方、繭から寝た状態で出てきたのよ。そのまま・・・」
ふと、TVの音が耳に入ってきた。
TV「砂漠地帯の方でチャオのものらしき足跡が見つかったようです」
チャイニー(!?・・・フフ・・・まさかな・・・)
TV「不思議な事に倒れたような跡を最後にぱったりとその足跡が途切れているとの事です。」
TV「次のニュースです。悪夢を流行らせた疑いでリアラ氏が逮捕されました。」
チャム「多分貴方あの人にやられたのよ。それで6日も・・・」
チャム「そんな事よりも良かったじゃない!おめでとう!」
チャイニー「??何がだ?」
チャム「なにって決まってるじゃない、進化よ。し・ん・か!」
チャイニー「ああ、そういえば・・・」
チャム「その格好、ラインが赤かったらあの人にそっくりね♪」
チャイニー「そうか?」
チャム「うん。結構、か、かっこいいよ。」
チャイニー「・・・(照」
こうして一つの悪夢は幕を閉じる・・・
その後2匹がどうなったかはまた別の話・・・